2 平成初期を舞台にしたヤクザの抗争という設定の扱いが難しかった
反社会組織の争いがテーマのひとつになっていますが、これがそもそも問題だったと考えています。例えばニセコイもラブコメとしてはヒットしましたが、主人公の楽がヤクザの息子であることは連載当初から批判されていましたよね。アングラ系の雑誌や青年誌ならともかく、少年誌でヤクザの抗争は正直求められていないと思います。少年達に悪影響がある、というのもありますが、そもそも身近なテーマではないんですよね。裏社会的なネタを扱うのであれば、せめて学園を舞台にしたヤンキー漫画などにするべきだったのではないでしょうか。
また、時代設定についてはほとんど活かせておらず、読者としても忘れていたというのが正直なところです。キャバクラに潜入する展開の途中でポケベルが登場し「そういえば平成初期の設定だったな」と思い出せる程度でした。現代からずらした時代設定にするのであればそれを活かした展開を作り、また要所要所で描写を挟んだほうが良かったでしょう。
少年誌では扱いが難しいネタだったとは思いますが、上手く使えれば他の作品と被らない武器にもなったはずなので残念なところです。いっそ特殊な設定はどちらかに絞れば化けたかもしれませんね。
3 特に終盤の展開が雑だった
本誌の感想記事でも少し触れましたが、最終決戦がラスボスである独歩のコピーというのは正直拍子抜けすぎました。能力までコピーしているから締めくくりとしてちょうど良い、という考えだったのかもしれませんが、本人と変わらない強さを持っているのなら尚更独歩と戦うべきだったと思います。結局ラストシーンで独歩本人と対面していますしね。連載終了が決まっていてじっくり描く時間はなかったのなら、修行シーンなどを短縮して独歩本人との対決を見せるべきだったのではないでしょうか。
また、それ以外にも気になる部分がありました。今回の記事でも先述しましたが、橋姫を含めてキャラの使い捨てが多いんですよね。ホストクラブを乗っ取った河童の女性達や警察組織である陰陽寮など、デザインが魅力的なキャラが多いのに、はっきり言ってほとんど掘り下げられないまま退場してしまいました。人気が落ちていたと考えられる後半になってから登場した河童達は活躍がなくても仕方ないかもしれませんが、序盤で描かれていた陰陽師(警察官)達はウララ達の対立組織でもありますし、もっと目立たせたほうが盛り上がったと思います。反社会組織の争いばかりだった展開にメリハリも生まれますしね。
正直終盤の展開は、連載終了が決まってやる気がなくなったのでは?と勘ぐってしまうほど雑でした。
連載終了がショックだったのだとしても、物語を綺麗に締めくくる努力が必要だったと思います。
終盤になってからのマルオの変化や高い画力など、光る部分もあったので短期連載で終わったのは残念でした。
少年誌に向かないネタは控えて、登場人物達の魅力をしっかり描ければ人気作になったかもしれません。元々地獄楽というヒット作を生み出した先生ですし、地力はあるはずなんですよね。問題点を改善した次回作に期待させていただきます。
今度はキャラを大事にした王道の要素のある漫画を読んでみたいです」
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