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それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。
1 主要人物達の魅力が伝わりにくかった
主人公のマルオ、ヒロインのウララ共に、内面の魅力やキャラクター像が分かりにくかったというのが正直な感想です。
まずマルオについては「父親から虐待を受けて育ち、唯一の心の支えが週刊少年ジャンプだったことからヒーロー達に憧れている」という設定自体は理解出来るのですが、動機が「強くなりたい」だけだと印象に残りにくいんですよね。恐らくバトル要素のある漫画の主人公はほぼ全員、同じように考えているからでしょう。たいまん時に嬉しそうに笑う様子も、動機が薄いせいか魅力的には思えませんでした。
境遇の似ている主人公としてよく名前の挙がるチェンソーマンのデンジも、きっかけとなった願いは「腹いっぱい食べて幸せに暮らしたい」という小さく、言ってしまえば平凡なものでしたが、その後「女と付き合いたい」のように良い意味で俗っぽい欲が出てきたのが魅力に繋がっていたんですよね。むしろ非常に過酷な環境で育って来たのですからそれくらい望んでも良いのでは、と感じられる主人公でした。マルオは女性にそこまでの興味はなさそうでしたが、強くなりたいにプラスしたもっと別の願いがあっても良かったはずです。
そして、初期は強さだけを求める怪力の少年という設定だったにも関わらず、敵に対して強さを発揮するシーンが少なかったのも問題だと思います。中盤くらいまでは苦戦なしでバタバタ妖怪を倒して行くくらいでちょうど良かったのではないでしょうか。
また、ウララについても設定を活かしきれていなかったように思います。「組長である鬼王の実の娘で、父の死の真相を明かして組を立て直したいと考えている」という設定は面白くなりそうなのですが、妖怪モードになった際もそこまでの強さを感じられず、正直拍子抜けだったんですよね。組長の娘なのならば、リスクはあるけれど妖怪になれば無双状態、くらいの描写が欲しかったところです。裏社会に属しており主人公を引っ張っていくタイプのヒロインなのですから、強さは余計に大切でしょう。
また、平均以上の強さがあり一途にウララを守り続けていた橋姫が、序盤で消滅してしまったのも痛かったと思います。冷静で鬼王のこともよく知っている彼女がマルオ達に同行すればバランスもとれそうですし、それぞれの良さも描きやすかったでしょう。キャラデザも含めて魅力的だった彼女がいなくなった弊害は大きかった気がします。
メインの物語を進めていくキャラに感情移入出来ないのは残念なところです。逆に展開が平凡でも、キャラが魅力的ならどんどん読めてしまいますからね。
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