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短期連載(打ち切り)となった作品について注目、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2013年34号にて最終回を迎えたクロス・マネジについて書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。
それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。
1 メインキャラの魅力が伝わりにくかった
主人公(櫻井)とヒロイン(深空)を含めて、メインキャラに分かりやすい魅力がなかったというのが正直なところです。ストーリーや絵と同じくらい、特にメインキャラの個性は大切だと思うんですよね。
まず櫻井は、厳しいようですが外見、内面共に地味すぎました。「スポーツ経験があり冷静で、未知のラクロスについてもしっかり学んで戦略を立てられる」という設定は良かったのですが、他の魅力を感じにくく、正直目立たないけれど優秀なキャラ、で終わってしまったんですよね。主人公としては扱いづらかったのではとも思います。
ヒロインの深空も可愛いのですが外見的な特徴がほぼなく、新たな読者の獲得などは難しかった気がします。また、次の項目で詳しく解説しますが性格は強引な面が悪目立ちしてしまっており、好感を持ちにくかったです。
他の主役校のメンバーもはっきり言って華がなく、ラクロスというユニフォームも可愛いスポーツを扱っていたのにもったいなかったなという印象です。画力は高く特に女子の表情は魅力的だったので余計残念でした。
正直、対戦校の和峰やもものほうが容姿、性格共に印象に残っています。また、ダイエット後の能登も可愛らしかったので、初めからこちらのデザインで良かったのではとも思ったんですよね。絵の魅力を活かしたキャラ作りが出来ていなかったなと考えてしまいます。
2 キャラクターに好感を持てない描写が多かった
先ほどの項目でも触れましたが、特にヒロインの深空が問題だった印象です。冒頭は「着替えを見られたことを理由に をラクロス部のマネージャーにする」という展開だったのですが、正直違和感があったんですよね。あくまでも不可抗力ですし、主人公を脅すようなヒロインに好感は持ちづらいです。
もちろん深空の脅迫はきっかけのひとつだっただけで、櫻井は徐々にラクロスに興味を持って行くのですが、出だし部分の掴みには失敗していたと言わざるを得ません。櫻井がサッカーでの挫折を経験していたので無理矢理スポーツに巻き込まれると被害者に思えてしまい、深空の魅力を感じにくかったんですよね。
また櫻井の友人鳥海がラクロス部のマネージャーになった櫻井を馬鹿にするシーンが序盤で描かれているのですが、はっきり言って不快でした。元々悪役として登場しているならともかく、友人設定だったので腹が立ってしまいました。ちなみに本作はキャラクターに声優さんの名前を引用しているため、モデルになった方に失礼では、とも思ってしまったんですよね。
正直、ヒロインや友人キャラに不快な設定はいらない気がします。基本的には読者が引っかかるだけでプラスにならないと思うんですよね。作品に必要な描写かどうかをしっかり判断して欲しかったです。
3 題材やストーリーが地味だった
主人公が女子スポーツ部のマネージャーとして陰から選手達を支えて行く、という部分は斬新ですし好きなのですが、正直地味になりがちな設定だとも思います。その予感通り、少年漫画としては華やかさに欠ける部分が目立ってしまった印象です。
櫻井が縁の下の力持ち的なポジションなので、派手な活躍が難しいんですよね。実際、裏方に徹していた上どちらかといえば地味なキャラだったので、マネージャーとしては優秀でも人気は出づらいだろうなと思ってしまいました。陰で動く主人公なら、いっそ外見は美男子にするなどのほうがバランスがとれたのかもしれません。
そもそもラクロスは日本ではあまり浸透していないスポーツのため、マネージャー視点で描くこと自体かなり難しい気がします。メジャーではない競技をメインに扱うなら、主人公は参加者のほうがルールなども分かりやすくなるんですよね。ジャンプだとヒカルの碁やアイシールド21はこのタイプでヒットしましたよね。主人公は深空にして、櫻井は男子視点担当の副主人公くらいのポジションのほうがラクロスについては伝わりやすかったのでは、と思います。
また、深空達が所属するラクロス部は新設されたばかりの弱小で、試合での見せ場などが少なかったのも印象に残りにくかった理由のひとつだと思います。初心者達が一歩ずつ成長して行くタイプのスポーツ漫画も個人的には好きですが、特にジャンプではスタートダッシュが重要ですし、他の部分の派手さがないと厳しかっただろうなとも感じるんですよね。
ラクロスという華やかなスポーツをテーマにしているのに、他の要因で地味になってしまっていたという印象です。主人公のデザインを見直す、実力のある選手を追加するなど、少し設定を変えるだけで結果は違っていたのではと思います。
キャラクターの地味さや言動の問題が目についてしまい、またストーリーで盛り上げることも出来ていなかったというのが正直なところです。ラクロスに着目した点や主人公の設定は良かったのですが、長所を活かせないまま終わってしまったんですよね。
対戦校(蝶蘭女学院)の和峰のほうが魅力的だったのも短命だった理由のひとつではないかと思います。櫻井が蝶蘭のマネージャーだったらもっと人気になったのでは、とどうしても考えてしまうんですよね。「ラクロスに関しては初心者だけれどマネジメントの才能を秘めた主人公と、ラクロスの強豪校」というのは相性も良い気がします。
画力が高くキャラクターも描き分けられていましたし、試合も深空達の活躍は少なかったものの迫力のあるシーンもしっかり描写されていたため、光るものは感じる作品でした。魅力的な部分をしっかり描いて、KAITO先生には更に活躍して欲しいです。
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