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短期連載(打ち切り)となった作品について注目、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2015年42号にて最終回を迎えたデビリーマンについて書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。
それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。
1 主人公(和)の描写が足りなかった
ずば抜けた頭脳を持ち、悪魔の力を活用して大金を稼いで行く少年、平和が主人公なのですが、彼の才能の秘密や生い立ちについてほとんど明かされなかったことが残念でした。とてもワクワクする設定で和の正体は最後まで楽しみでしたが、分からないままで正直モヤモヤが残ってしまったんですよね。
また、和の秘密を推測出来るようなシーンが少なかったことも問題だと思います。伏線らしき描写もほとんどなかったので、考察などで盛り上がることも難しかったんですよね。
ファンタジー要素の強い作品なので、良い意味で何でもありな部分を活かして欲しかったです。たとえば両親共にある分野の天才で血を受け継いでいる、でも、実は人間以外の種族だった、でも納得出来たと思うんですよね。
ちなみに読み切りの際は最終盤で和の正体が明らかになり、面白いオチに繋がっていました。連載でこれを活かせなかったのも残念なところです。
ラストの「和様の正体は~」というマドギワーの台詞は好きなのですが、やはり作中で描いたほうが良かったのではと考えてしまいます。謎めいた部分を残して余韻を演出するにしても、伏線などは欲しかったんですよね。
2 ファンが熱狂するようなキャラクターがいなかった
あどけない少年の和とちょっと怖い見た目のマドギワーというダブル主人公なのですが、正直ふたりとも人気が出やすい設定ではなかったと思います。デザイン自体は個人的に好きですが、少年漫画の定番からは外れているんですよね。
人間と異種族のコンビを主役にする場合、どちらかは一定以上の年齢の美男子にしないと難しい気がします。たとえばジャンプだとヒカルの碁やDEATH NOTEはこのタイプでヒット作になりましたよね。和は可愛いですが年齢が少し幼すぎますし、マドギワーにも分かりやすいかっこ良さはない、というのは扱いにくかったと思います。
また、マドギワー以外の悪魔もおどろおどろしいデザインが目立っており、こちらもファンは多くなかったのではと感じます。もう少し愛嬌があれば、設定的にもモンスターズ・インクのような人気に繋がりやすかったと思うので残念なところです。
そして、敵キャラも厳しいようですが魅力に欠けていた印象です。悪魔の能力も頭脳戦向きでないものが多く、また惹き込まれる志を持つキャラもほとんどいなかったため、和達との対決もいまいち盛り上がらなかったんですよね。
女子キャラクターも可愛いのですが、出番が少なくやはりファンは増えにくかったのではと考えております。女子については、ヒロイン格のるりがおせっかいすぎて少し鬱陶しく見えてしまったのも惜しかったです。
主役コンビのどちらかに熱狂的なファンがいればまた違った結果になったと思うんですよね。最終回で一瞬だけ描かれた成長後の和がとても良かったので、和の年齢を上げるだけでもヒットに繋がった気がします。
3 メインとなる設定に違和感があった
悪魔は邪悪な心の持ち主にしか見えず、能力を貸す契約を結べるのも悪人とだけと説明されているのですが、肝心の和がそこまでの悪人には見えず最後まで引っかかってしまいました。マドギワーの前の契約者、富戸も最後に和と同じくマドギワ―のための選択をしているため、やはり矛盾を感じたんですよね。
もちろん和はずる賢いキャラでしたが、基本的にターゲットにするのは明るみに出ていない犯罪者だったので義賊のようにも感じたんですよね。和の正体がはっきり分かれば悪人のみという設定も受け入れられたのかもしれませんが、前述の通り最後までそれは明かされなかったので正直納得出来ませんでした。
たとえば「悪魔と契約出来るのは大きな野望と優れた頭脳の持ち主だけ」などならもっと受け入れやすかった気がします。これなら他の悪魔や契約者が和達の仲間になる、などの展開も作れたのでは、と思います。
重要な設定に矛盾を感じてしまう、というのはやはり問題だったと思います。そもそもジャンプで完全な悪人を主人公にすること自体難しいでしょうしね。契約についての描写は見直したほうが良かったのでは、と考えてしまいます。
メインキャラふたりにファンが増えるような設定がなかったことも痛かったと思いますし、主人公の和についての描写も足りず、話に乗り切れないまま終わってしまったなと感じております。和が「基本的に善人には手を出さず犯罪者をこらしめる」と描かれているのも、正直契約についての設定と矛盾しており気になってしまったんですよね。
第一話はとても面白かったと思いますし、和もマドギワーも内面はとても魅力的なので惜しかったところです。少しデザインを変えたり、もっと早くに和の正体について描写すれば全く違う印象になったはずなんですよね。
読み切りの際は和の秘密がラストに活かされる構成が上手かったですし、連載版の最終回も和とマドギワーの絆が伝わって来て、意外性もありとても良かったです。ストーリーはもちろんデザインのセンスも感じるので、福田先生には長所を大切にした作品をまた描いて欲しいです。
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