2022年12月9日金曜日

短期連載(打ち切り)作品解説 ボーンコレクション

 

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短期連載(打ち切り)となった作品について注目、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2020年38号にて最終回を迎えたボーンコレクションについて書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。
それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。


1 主人公に好感が持てなかった

周囲と比べると能力が低く、通常の術は使えない陰陽師の少年カザミが主人公ですが、正直彼を応援出来ず読んでいて苦痛になる部分が多かったです。キャラ造形の失敗を感じざるを得ませんでした。
カザミは妖怪の力を借りる妖怪術ならば上手く扱える、という設定なのですが、安易にこの術を使ったことが原因で、幼少期に河童の友人かわのしんを失うことになってしまったと描かれています。しかし、第一話の段階で別の妖怪に同じ術をかけようとしているんですよね。
はっきり言ってこの時点で疑問に思いました。真っ当な感覚を持っていれば、かわのしんの一件を戒めに力を封じるのではないでしょうか。自分の弱さに悩みつつも、友人を追い詰めたことを反省しており禁術は使わない、という描写のほうがずっと好印象だったはずです。
また、ヒロインの白羅への接し方も良くなかったと思います。白羅に女性的な魅力は感じていたのに「結婚するのは違うな」と考えているシーンは、正直とても無責任に見えてしまいました。
その他にも、自分の兄が強敵に苦戦していると知った際「ざまあみろ」と発言したのも不快でした。単純に性格が悪いとしか思えなかったんですよね。

厳しいようですが、好感を持てるシーンがほとんどなかったというのが正直なところです。ナンパな態度でもやるときはやる、かわのしんのことを反省しており修行の末に新たな術を身につけるなど、主人公らしくかつ印象の良くなる展開が欲しかったところです。


2 主人公とヒロインの関係にときめかなかった

ヒロインの白羅との出会いがきっかけでストーリーが大きく展開するのですが、カザミと白羅の関係に正直魅力がなかったんですよね。初対面のシーンなどは面白かったですが、その後は印象的な場面が少なかった印象です。
先ほどの項目でも書きましたが、まずカザミに好感が持てなかったことが一因だと思います。白羅を女性として見ているのに「スタイルの良い美人の近くにいられて役得」としか考えておらず、真摯に接することがなかったんですよね。
鼻の下を伸ばす程度なら男子高校生らしいですし微笑ましいと感じられますが、やはりそれ以上にヒロインを大切にする描写が欲しかったところです。同じようなタイプの主人公だとうる星やつらのあたるなどが浮かびますが、あたるはカザミ以上に軽薄なもののパワフルに行動していますし、ヒロイン達のために身体を張るような場面やラムを真剣に想っているシーンもしっかり描かれているんですよねカザミにはそれが足りなかった気がします。
また、ヒロインの白羅も尊大かつ傍若無人で、描写が難しかったかなと思います。正体はがしゃどくろという大妖怪ですし癖の強い性格自体は個人的には受け入れられたのですが、内面が女性として魅力的だったかと考えると厳しいようですが違う気がするんですよね。

ラブコメ要素もキーになる作品で主人公とヒロインにときめかないというのは、正直かなり問題だったと思います。カザミに好感が持てなかった上、白羅との相性もイマイチだと感じてしまいました。魅力的なキャラを作った上で、主人公とヒロインが並んだときに読者がどう思うかを考えて欲しかったです。


3 噛み合わない設定が多かった

全体的にコメディタッチで進んでいましたが、妙に重い描写が挟まれることがあり正直引っかかりました。特に何度か触れているかわのしんの設定はやはり問題だったと思うんですよね。カザミに友人を失ったことへの反省が見られなかったことは、厳しいようですが最後まで気になってしまいました。
また、登場する妖怪はアレンジした和風のデザインが多かったのですが、途中でいきなりデフォルメの強い「ミルクボーイ」という妖怪が描かれて引っかかりました。はっきり言って作品の雰囲気ともミスマッチだったと思います。コンビ芸人が由来なのでしょうが、唐突すぎてパロディネタとしても笑えなかったんですよね。
そして、ヒロインの白羅は「人になるため自分の妖力を使い切ってもらうことを願っている」と描写されており、タイトルと漫画の内容も合っていなかったんですよね。骨を集めるという要素はほとんど描かれなかったなというのが正直なところです。

ひとつひとつは細かいかもしれませんが、噛み合わない設定が多いとやはり集中出来なくなってしまいます。読者の混乱を避けるためにも、全体的な流れに沿って設定を作り込んで欲しかったところです。


まずカザミに好感を持てなかったことがかなり問題でしたし、他にも気になる部分が多くそのまま終わってしまったなというのが正直なところです。一話の時点で主人公の印象が悪くても二話や三話辺りで覆すような描写があれば違ったはずですが、結局カザミを見直せないままでした
ボーンコレクションは読み切りが個人的にとても好きだったのですが、連載時に変更された部分がマイナスに働いていると感じてしまった点も残念でした。読み切りでは骨を集めることがテーマになっていましたし、カザミは「白羅にこき使われつつも、自分を救ってくれた彼女を一途に想っている」という設定だったんですよね。何故この要素を活かせなかったのかなと考えてしまいます。
ただ、絵柄は個性的で好きですし、雲母坂先生はデザインセンスの優れた方だと思うんですよね。特に白羅を含む女子キャラはしっかり描き分けられておりますし可愛かったです。連載ではデフォルメが強く絵の魅力も出し切れていなかった気がするので、主人公の設定をしっかり練った上で、女子の描写を活かした作品をまた読んでみたいです。



りは「読み切りが良かったので、
変わってしまって残念に思う部分も多かったです。
やっぱり主人公の好感度は特に大切ですよねー」





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