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短期連載(打ち切り)となった作品について注目、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2010年30号にて最終回を迎えたLOCK ON!について書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。
それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。
1 構成が少年誌に合っていなかった
主人公は特殊な目を持つカメラマンの少年、真田 映なのですが、基本的にヒロインであるニコの視点で物語が進んでおり、正直序盤から長期連載は難しいかもなと感じてしまいました。この構成が原因で真田の心情なども分かりにくくなっていたんですよね。
以前アメノフルについての記事で書いたように、女性主人公で成功させること自体がかなり大変なんですよね。もちろん厳密に言えばニコはヒロインなのですが、作品の進行役という意味では主人公だったと思います。
また「ニコの真田への気持ちの変化」がテーマのひとつだったことも、少年誌に合わなかった理由かなと考えております。心情の描写は丁寧でとても良かったのですが、終盤は完全に少女漫画のような展開が続いていたんですよね。少年漫画を求める、特に若い読者に響かなかったのは仕方ないのかなとも思ってしまいます。
女性視点で成功している作品は、推理、バトル、ダークファンタジーなど、ジャンルはジャンプらしいものが多いんですよね。学園ものでキャラ同士の交流もメインになる漫画を女性目線で描くと、やはり少女漫画のような印象になってしまう気がします。視点になるキャラとテーマが合っていなかったと言えるでしょうね。
恋愛模様もテーマなら、やはり真田を主人公としてしっかり描写すれば良かったのではと考えてしまいます。ニコが進行役になっていたことで、ただでさえ少しミステリアスな真田が余計掴みどころのないキャラに思えてしまったんですよね。
ちなみに学校が舞台の作品を女性目線で描いてヒットを狙うなら、スポーツ漫画などなら可能性はあったのではと感じます。ジャンプ読者のニーズに応えられるジャンルを選ぶのが人気の獲得には必要だったと思うんですよね。今後女性視点の作品を描く予定のある方は「少年誌の読者の気持ち」に寄りそうことを大切にして欲しいです。
2 恋愛模様を描写するには画力が足りていなかった
先ほども書いたように恋愛もメインになる作品だったのですが、それを絵で表現しきれていなかったというのが正直な感想です。画力が低かったわけではないですし絵柄などは個人的に好きなのですが、惹き込まれるほどの魅力もなかったと感じてしまうんですよね。
画力の重要性はジャンルによっても違うと思いますが、恋愛がテーマだと求められる傾向が強い気がします。実際、ラブコメなどのヒット作はまず絵に惹かれるものが多いですよね。キャラのかっこ良さ、可愛さが大切になって来るからだと思うのですが、LOCK ON!は十分に描写出来ていない気がしました。
また、作中での説明と絵が合っていないように感じるシーンにも引っかかりました。今でも覚えているのは、真田が撮影した水着のグラビア写真を見たニコが「ほとんど裸」と考えていた場面です。露出度が高いわけでもなくどちらかと言えば控えめな水着で、厳しいようですが納得出来なかったんですよね。
表情の描き方やキャラクターデザインなどは魅力的でしたが、人気を獲得するほどの画力ではなかったというのが正直なところです。こちらもジャンル次第では問題にならなかったと思うので、やはり恋愛以外のテーマを選んだほうが良かったかもしれませんね。
3 題材が地味だった
恋愛模様以外だと真田のカメラマンとしての活動や写真部の設立もメインに描かれていたのですが、正直どちらもかなり地味に感じました。メンバーを集めて新たな部活を作る、という展開自体斬新さはないですし、文化部となるとなおさら厳しいのではと思ってしまいます。そもそも写真部自体どちらかといえばマイナー寄りなので、余計に厳しかった気がします。
メジャーではない題材で成功しているジャンプ漫画というとヒカルの碁やアイシールド21が浮かびますが、いずれも本誌の中でも際立つほどの画力が特長ですよね。また、原作と作画の2人で制作している点も共通しています。
もちろん分業は必須ではないでしょうが、読者に馴染みのないジャンルでヒットさせるなら、やはり絵の魅力は重要になって来ると思うんですよね。画力については先述しましたが、LOCK ON!の絵でそれは伝えきれていなかったと感じます。
また、写真というテーマも難しかったのではと考えております。こちらを表現するのにも高い画力が必要になると思うのですが、真田の撮影した写真のすごさがよく分からなかったんですよね。
厳しいようですが、マイナー寄りのテーマの面白さを描けていなかったというのが正直なところです。真田の特殊能力を活かした事件解決のパートは個人的には好きだったのですが、推理ものもジャンプだとそこまでの人気ジャンルではないんですよね。先述の項目と同じような結論になってしまいますが、学園ものにするとしても別の方向性を模索したほうが良かったのではと考えてしまうんですよね。
全体的に、画力が足かせになって写真やヒロイン達の魅力を描写出来ていなかったことが敗因だったのではと考えております。マイナー寄りのジャンルで成功を狙うならこの部分は余計に大切だったと思うんですよね。
ただ、ストーリーに破綻もないですしキャラクターについても特にニコはしっかり掘り下げられており、欠点が目立つ作品だったというわけでもないんですよね。ジャンプ以外のもっと合った雑誌なら、十分長期連載も狙えた気がします。
個人的には表情の描き方などは魅力的だったと思いますし、序盤で真田が解決に導いた教師と生徒の恋愛のエピソードなどもとても好きでした。安易に付き合う、という結論になっていないところが良かったんですよね。
最終回のサブタイトルとラストシーンの「私でも君を」がリンクしている演出なども印象的で、短命ではあるものの読後感の爽やかな作品でした。土田先生は今も別媒体で漫画家として活躍していますが、また本誌でもお会いできれば良いなと思っています。
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