2022年10月28日金曜日

短期連載(打ち切り)作品解説 LOCK ON!

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短期連載(打ち切り)となった作品について注目、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2010年30号にて最終回を迎えたLOCK ON!について書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。

それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。



1 構成が少年誌に合っていなかった


主人公は特殊な目を持つカメラマンの少年、真田 映なのですが、基本的にヒロインであるニコの視点で物語が進んでおり、正直序盤から長期連載は難しいかもなと感じてしまいました。この構成が原因で真田の心情なども分かりにくくなっていたんですよね。

以前アメノフルについての記事で書いたように、女性主人公で成功させること自体がかなり大変なんですよね。もちろん厳密に言えばニコはヒロインなのですが、作品の進行役という意味では主人公だったと思います。

また「ニコの真田への気持ちの変化」がテーマのひとつだったことも、少年誌に合わなかった理由かなと考えております。心情の描写は丁寧でとても良かったのですが、終盤は完全に少女漫画のような展開が続いていたんですよね。少年漫画を求める、特に若い読者に響かなかったのは仕方ないのかなとも思ってしまいます。

女性視点で成功している作品は、推理、バトル、ダークファンタジーなど、ジャンルはジャンプらしいものが多いんですよね。学園ものでキャラ同士の交流もメインになる漫画を女性目線で描くと、やはり少女漫画のような印象になってしまう気がします。視点になるキャラとテーマが合っていなかったと言えるでしょうね。


恋愛模様もテーマなら、やはり真田を主人公としてしっかり描写すれば良かったのではと考えてしまいます。ニコが進行役になっていたことで、ただでさえ少しミステリアスな真田が余計掴みどころのないキャラに思えてしまったんですよね。

ちなみに学校が舞台の作品を女性目線で描いてヒットを狙うなら、スポーツ漫画などなら可能性はあったのではと感じます。ジャンプ読者のニーズに応えられるジャンルを選ぶのが人気の獲得には必要だったと思うんですよね。今後女性視点の作品を描く予定のある方は「少年誌の読者の気持ち」に寄りそうことを大切にして欲しいです。



2 恋愛模様を描写するには画力が足りていなかった


先ほども書いたように恋愛もメインになる作品だったのですが、それを絵で表現しきれていなかったというのが正直な感想です。画力が低かったわけではないですし絵柄などは個人的に好きなのですが、惹き込まれるほどの魅力もなかったと感じてしまうんですよね。

画力の重要性はジャンルによっても違うと思いますが、恋愛がテーマだと求められる傾向が強い気がします。実際、ラブコメなどのヒット作はまず絵に惹かれるものが多いですよね。キャラのかっこ良さ、可愛さが大切になって来るからだと思うのですが、LOCK ON!は十分に描写出来ていない気がしました。

また、作中での説明と絵が合っていないように感じるシーンにも引っかかりました。今でも覚えているのは、真田が撮影した水着のグラビア写真を見たニコが「ほとんど裸」と考えていた場面です。露出度が高いわけでもなくどちらかと言えば控えめな水着で、厳しいようですが納得出来なかったんですよね。


表情の描き方やキャラクターデザインなどは魅力的でしたが、人気を獲得するほどの画力ではなかったというのが正直なところです。こちらもジャンル次第では問題にならなかったと思うので、やはり恋愛以外のテーマを選んだほうが良かったかもしれませんね。



3 題材が地味だった


恋愛模様以外だと真田のカメラマンとしての活動や写真部の設立もメインに描かれていたのですが、正直どちらもかなり地味に感じました。メンバーを集めて新たな部活を作る、という展開自体斬新さはないですし、文化部となるとなおさら厳しいのではと思ってしまいます。そもそも写真部自体どちらかといえばマイナー寄りなので、余計に厳しかった気がします。

メジャーではない題材で成功しているジャンプ漫画というとヒカルの碁やアイシールド21が浮かびますが、いずれも本誌の中でも際立つほどの画力が特長ですよね。また、原作と作画の2人で制作している点も共通しています。

もちろん分業は必須ではないでしょうが、読者に馴染みのないジャンルでヒットさせるなら、やはり絵の魅力は重要になって来ると思うんですよね。画力については先述しましたが、LOCK ON!の絵でそれは伝えきれていなかったと感じます。

また、写真というテーマも難しかったのではと考えております。こちらを表現するのにも高い画力が必要になると思うのですが、真田の撮影した写真のすごさがよく分からなかったんですよね。


厳しいようですが、マイナー寄りのテーマの面白さを描けていなかったというのが正直なところです。真田の特殊能力を活かした事件解決のパートは個人的には好きだったのですが、推理ものもジャンプだとそこまでの人気ジャンルではないんですよね。先述の項目と同じような結論になってしまいますが、学園ものにするとしても別の方向性を模索したほうが良かったのではと考えてしまうんですよね。



全体的に、画力が足かせになって写真やヒロイン達の魅力を描写出来ていなかったことが敗因だったのではと考えております。マイナー寄りのジャンルで成功を狙うならこの部分は余計に大切だったと思うんですよね。

ただ、ストーリーに破綻もないですしキャラクターについても特にニコはしっかり掘り下げられており、欠点が目立つ作品だったというわけでもないんですよね。ジャンプ以外のもっと合った雑誌なら、十分長期連載も狙えた気がします。

個人的には表情の描き方などは魅力的だったと思いますし、序盤で真田が解決に導いた教師と生徒の恋愛のエピソードなどもとても好きでした。安易に付き合う、という結論になっていないところが良かったんですよね。

最終回のサブタイトルとラストシーンの「私でも君を」がリンクしている演出なども印象的で、短命ではあるものの読後感の爽やかな作品でした。土田先生は今も別媒体で漫画家として活躍していますが、また本誌でもお会いできれば良いなと思っています。



りは「キャラの好感度の高さや演出の上手さが心に残る作品でした。
部活のジャンルを変えるだけでも結果は違っていたかもしれませんねー」




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2022年10月27日木曜日

短期連載(打ち切り)作品解説 すごいスマホ

すごいスマホ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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(2022/10/28 09:08時点)



短期連載(打ち切り)となった作品について注目、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2022年46号にて最終回を迎えたすごいスマホについて書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。

それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。



1 非常識な部分が目立っていた


事件などの描き方に納得出来ない部分が多かったというのが正直なところです。すごいスマホという現代の常識が通用しない端末を用いた推理、サスペンスものですし、派手な描写は確かに必要だったと思います。ただ、読者の許容範囲を超えてしまっていたような気がするんですよね。

まず違和感を覚えたのは、やはりタワマン襲撃事件の規模でした。被害者、被害額ともに相当な数に上ってしまっており、現代日本の一都市で発生した事件としてはあまりにも凶悪すぎたと思います。また、完全な異常事態にも関わらず、翌日から住人達がごく普通の生活を送っている様子なのも気になりました。政府や警察が総力を挙げて人々を守る、別の場所に避難するなどの対策が必要な状態だったと思います。あくまでも「すマホを使った事件例」として扱うのなら、もっと規模を縮小したほうが良かったのではと考えてしまうんですよね。

他に、藻浦を強く咎めず擁護するようなシーンが多いことも引っかかりました。ギャンブルで稼ぐだけなら許容出来ましたが、窃盗などの犯罪も繰り返すキャラが何故大切に扱われているのか、とストレスになってしまったんですよね。これについては次の項目で詳しく書かせていただきます。

最終盤でも、許可をとる場面が描かれていないのにQ達が警察署内の資料をチェックしているシーンなどが気になりました。連載終了が決定して時間がなかったのかもしれませんが、重要な場面はしっかり見せるべきだったと思います。


すごいスマホという非現実的なアイテムがメインの作品だからこそ、他の部分のリアリティが大切だったのではと感じてしまいます。あまりにも非常識な内容だと、真剣に読む気が失せてしまうんですよね。



2 キーとなるキャラ(藻浦)に好感が持てなかった


既にこのブログでも何度か触れていますが、やはり短命となる一因は藻浦だったと正直感じます。キャラクターに問題があったことはもちろん、藻浦編がかなり長く描かれていたのもストレスだったんですよね。

弟を救出したいと考えながら他の事件も解決して行くQや、身勝手だけれどすマホの扱いは上手い全一郎と比較して「少し愚かな一般人」を出すという発想自体は確かに分かります。けれど、藻浦は配慮のなさ以上に不快感が勝ってしまったんですよね。反省する様子もなく窃盗を繰り返すキャラに好感を持てる読者は多くないと思います。悪事について批判されていればむしろ共感出来るキャラになったのではとも思うのですが、Qが藻浦の行動にほとんど言及しないのも疑問でした。「藻浦はすマホに振り回された人間」という言葉で片付けて良いことではなかったはずです。あくまでも愚かな一般人という立ち位置ならギャンブル程度に留めるべきでしたし、犯罪に手を染めるなら警察だけではなく、主人公のQもしっかりそこを非難するべきだったと感じます。

更に言えば、内面だけではなく外見にも魅力を感じられませんでした。「今までのキャラとは別の視点を担当した上で、主人公のQに影響を与える」という重要な役割を持っているなら、性別を問わず惹き込まれる容姿にしたほうが良かったはずです。外見にも内面にも魅力が感じられず、退場のときも残念だとは思えなかったんですよね。


序盤から登場していた全一郎は突っ込みどころが多いもののインパクトは強く人物像も掴みやすかったのに、その後Qと関わることになったすマホの持ち主を藻浦のようなキャラにしたのは失敗だったと感じます。全一郎だけではなくボーケンや冷も魅力的だったので、余計に藻浦のおかしさが目立っていた気がするんですよね。藻浦編で離れた読者も多かったのではと思います。



3 推理部分の粗が多かった


サスペンス要素や謎解きのパートはこの作品のメインだったと思うのですが、ずさんに感じる部分が多かったというのが正直なところです。ここで引っかかるとQのすごさも伝わって来ないんですよね。

厳しいようですが、第一話の女児誘拐事件の推理にも個人的には納得出来ませんでした。細かいことかもしれませんが、犯人が一軒家に住んでいると決めつけていることに引っかかったんですよね。人気のないアパートなどが現場になっているケースも十分考えられたはずです。また、初めに被害女児の服装を観察していたのに、別の方向から推理を始めたことも気になりました。

その後、タワマン襲撃犯と修誘拐事件の犯人が同一人物なのではとQが考え始めますが、やはり引っかかったというのが正直なところです。最終盤で答えが描かれましたが、Qの推理が登場した段階だと判断材料が少なすぎたんですよね。人物像が被ること自体は分かりましたが、これで犯人だと断定するのは無理があるだろう、と感じてしまいました。

最終回で言及されたAIの正体も面白いとは思いましたが、Qが結論に辿り着くまでの経緯が唐突な印象を受けました。喋り方が似ているだけで一人称なども全く違いますし、読者としては気になってしまったんですよね。


Qは秀才という設定ですし、推理部分の説得力は大切だったと思います。サスペンス要素を含むジャンプのヒット作というとDEATH NOTEが有名ですが、読み返してみると矛盾も見つかるものの、特に序盤はかなり緻密に構成されておりとても惹き込まれるんですよね。特殊なアイテムがキーになる、という部分も共通していますが、ルールがしっかり決められていたのも大きいかったのではと感じます。すごいスマホもすマホの設定を固めた上で、Qの思考に説得力を持たせて欲しかったです。



現代が舞台の推理物だと、話の粗や矛盾が目立ってしまうんですよね。他の漫画以上に気を遣わなければいけないジャンルなのだと感じます。

絵は好きですし、全一郎、ボーケン、冷のように魅力的なキャラもいたんですよね。修誘拐についての詳細も気になっていたので、終了は残念でした。

設定をもっと煮詰めて、特にAIの正体について序盤から伏線を描写していれば結果は違っていたのではと思います。冨田先生、肥田野先生の次回作をまた読んでみたいです。




りは「序盤で矛盾が目立つと推理ものは難しそうですよねー。
今後同じジャンルに挑戦するなら、
特に初期の構成をしっかり考えて欲しいです」



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2022年10月26日水曜日

週刊少年ジャンプ2022年47号感想 2/2



龍と僵尸(読み切り)


渋い絵柄が印象的でした。短い中でしっかりキャラを描写出来ているのも上手いですね。がめつく見えて村人達を思いやっていた千刃道士、素朴なヒロインの睡明、どちらも魅力的でした。

表情の描写も上手いですね。特に「待っていたぞ」の不敵な顔が好きです。

締めくくりも綺麗ですね。切なさは残るものの、道士は悲願を遂げてその行いは千年後も正しく評価されているということで、読後感は良かったです。


ただ、いくつか気になる部分もありました。まず、せっかくの戦闘シーンが正直迫力に欠けるように見えたんですよね。決めゴマが小さかったことが主な原因かと思います。ページ数が短いので仕方ないかもしれませんが、もう少し工夫して欲しかったとも感じます。

また、展開にもそこまでの意外性がなかった気がします。道士が実は人々のことをきちんと考えていた、という場面は印象的でしたが、それ以上の驚きがなかったんですよね。あと少しで良いので盛り上がりが欲しかったところです。

大きな欠点はないのですが、強く惹き込まれるシーンもなかったと感じます。絵やキャラは好きなので、しっかりと構想を練った作品を読んでみたいです。



ALIENS AREA(最終回)


終わってしまいましたね。明かされていない設定なども残っていますし、話数から考えても打ち切りと判断して良いでしょう。

ただ、最終回は惹き込まれる場面も多かったです。外5、特に写楽班の連携が印象的でした。また、犯人が髪をかきあげたときの表情も良かったです。

炎が迫る建物からの脱出作戦の後、犯人の保護と逮捕のために動く辰巳達にも惹き込まれました。手を伸ばす辰巳が特に良かったです。

ラストシーンも印象的でした。景色を見ながら静かに語り合う写楽と辰巳がかっこ良かったです。


敗因としては、そもそも話の方向性が定まっていなかったことがひとつ挙げられるかと思います。二ノ太刀との戦い辺りまではSF要素を含むバトル漫画になって行くのだろうと考えていたのですが、早い段階で戦いの描写がほぼなくなってしまったんですよね。もちろん路線変更自体は構わないのですが、それでも辰巳の戦いでの活躍は見たかったというのが正直なところです。彼のバトルを描いた上で、アンケートなどが不調だった場合に別の方向を考えたほうが良かった気がします。

また、ダブル主人公だと思っていたのに、結局写楽ばかりが目立っていたことも最後まで引っかかりました。厳しいようですが、これは読み切りの際も感じた問題点だったんですよね。以前にも書きましたが、あくまでも話を進めるのは写楽という構成なら、辰巳のポジションにはヒロインを据えたほうが自然だったかと思います。

そして、終盤は惹き込まれる展開が多かったものの、写楽と辰巳が所属する外5の問題が浮き彫りになったことも気になりました。正直、異星人を取り締まってはいても何も解決出来ていないのではと感じてしまうんですよね。最後の事件に繋げるためだったのだとは思いますが、犯人の逮捕を優先していて被害者や家族のケアにまで手が回っていない、などの設定で良かったのではと考えてしまいます。

写楽と犯人の対面やラストシーンの写楽と辰巳などは良かったので、那波先生はバトルやアクションよりも会話劇を静かに描写する作品などのほうが向いているのではとも感じました。ただ、最後の事件は無事に解決しているので、単独記事の作成は予定しておりません。絵はとても好きですし印象的な場面を描けるのは武器だと思うので、長所を活かした作品をまた読んでみたいです。



りは「無理にダブル主人公にせず、
写楽単独で描いたほうが良かったかもしれませんねー。
那波先生、お疲れ様でした」



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週刊少年ジャンプ2022年47号感想 1/2



あかね噺


冒頭に登場した禄郎にドキッとしました。物静かな雰囲気のイケメンで今まで描かれた美男子ともまた違うタイプですよね。あかねに興味を持っている様子なので、今後もまた出て来るのではと期待しています。

高座に座るあかねのモノローグも印象的でした。自分を見ている客がいない中で臆することなく噺を披露する姿も良かったです。

その後、しっかりと客を笑わせた上でりゑんに仕返しするのが良かったです。「逆の意味で心配」というからしの台詞が的確でしたねw


朝がおも言っていた通り、読者としてもスカッとするラストでした。正当な方法で嫌味な相手に一泡吹かせる展開は痛快ですね。弥栄亭でのあかねの更なる成長に期待しています。



大東京鬼嫁伝


みゃーこのキャラが良い意味で意外でした。愛火とは旧知の仲なのに年齢不詳という描写に笑いましたw

愛火がツッコミ役になっているのも新鮮でしたね。「いい加減マジメに働いたほうがいいですよ」という正論が好きですw

ただ、努力も報われず、従えていた猫達にも横暴さ故に見放されるという描写には同情も出来ました。魅力的な容姿ですし、もののけという個性も活かして動画配信などから始めてみては、とアドバイスしたくなりましたw

進太の優しさにときめくラストも良かったです。もちろん反省はしっかりするべきだと思いますw


少し引っかかったのは、これまで全く描かれなかった、もののけの学校という設定が突然登場したことです。愛火もけろるも人間や人間界についてよく知らない様子でしたし、きちんと通学していたというのは正直ちょっとおかしいと感じてしまったんですよね。ですが、学校については今後もっと詳しく描写されるのかなと期待しています。

コメディタッチでもバトルが描かれると盛り上がりますね。みゃーこのキャラも面白く、一気に読むことが出来ました。次週以降、本格的に愛火のライバルになるのかどうかにも注目して行きたいです。



恋の曜日の世崎さん(金未来杯エントリー作品)


個性的で可愛らしい絵柄にまず惹き込まれました。地味な男子と人気者の女子のラブコメというのは王道ですが、ファンタジー要素が上手く活かされているところが新鮮でした。特に天使の世崎が好きですwまた、彼女のシャワーシーンにはドキッとしました。

世崎の能力の由来についてしっかり明かされたのも好印象でした。重い過去を感じさせない明るさも彼女の魅力ですね。

終盤、様々な能力を活かして人助けをする世崎も良かったです。驚きつつも彼女のもとに駆けつける主人公の星巻も魅力的でした。また、世崎が危機を乗り越えるために全ての力をまとうシーンにも惹き込まれました。

そしてラスト、星巻と世崎の会話にキュンとしました。秘密を受け入れた星巻が彼女と結ばれて終わる、という予想を良い意味で裏切られました。「普通の恋がしたい」という願いは冒頭のシーンにも繋がっていて上手いですね。


絵も話も可愛く、ストレスなく一気に読めました。読み切りとして綺麗にまとまっていますが、曜日ごとの世崎を掘り下げたり「普通の恋」を描くなどで連載も出来るのではと感じます。新作でも本作の連載でも、白咲先生の作品を是非また読んでみたいです。



ギンカとリューナ


ギンちゃんが消えていなかった理由が明かされて良かったです。「ホッとしました」という台詞も印象的でした。

罠のような仕組みのある山を登って行く一行も良かったです。厳しい環境で頭の形が変わってしまったギンカに笑いましたwアネモネから師匠と呼ばれてご満悦なのも良いですねw

高い場所から景色を見るリューナとギンちゃんにも惹き込まれました。「世界はこんなに広いんだから」というリューナの台詞にグッと来ました。

終盤まで楽しく読んでいたからこそ、ギンちゃんがさらわれてしまうシーンはハラハラしました。組織の予想に反してすぐに乗り込んできたリューナもかっこ良かったです。


少し引っかかったのは、ギンカを尊敬しているアネモネはともかくとして、ベレッタがついていくる動機が正直薄く感じられたことです。もちろん途中のアネモネとの会話からして今後描かれるのでしょうが、たとえばリューナから案内を頼まれるなど、別の理由があっても良かったと思うんですよね。

ただ、全体的にはワクワクしながら読めました。キャラを立てながら登山を描き、ラストに緊張感のある展開を持って来る構成が上手かったです。リューナとギンちゃんがどうなるのか、他のメンバーも追いつけるのか。少しハラハラしますが、次週も楽しみです。



りは「ギンちゃんとリューナ、ギンカとアネモネなど、
新たな関係性を見られたのも面白かったです。
次週以降バトル展開になりそうですが、そちらにも期待しています」



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2022年10月19日水曜日

週刊少年ジャンプ2022年46号感想 2/2



大東京鬼嫁伝


けろるは出て来る度に話を盛り上げてくれますね。愛火のライバルになるつもりはなさそうなのに、彼女の邪魔ばかりしてしまう展開が面白いですw

また、進太の回想も印象的でした。今の花札家が出来るまでの経緯が興味深いですね。再婚を繰り返した結果ではあるようですが、子どもだけで暮らすことになった理由なども描かれると嬉しいです。

愛火の一途さも良かったです。「いつか絶対~」という台詞と表情がとても可愛いですね。

そして、ラストに登場した猫娘のみゃーこも印象的でした。こちらは本気で愛火のライバルになることを企んでいるようなので、けろるとはまた違った立ち位置のキャラになる気がします。


ただ、もののけ関連の話ではなくのんびりとした回が続いたのは正直少し退屈にも感じました。また、みゃーこは性格や口調は面白そうなのですが、デザインに際立つような個性はない気がして少し心配になりました。

ですが、進太が美少女のもののけに狙われるのでは、という引きは好きです。次週への期待も持てました。みゃーこの介入で物語も動きそうなので、注目したいと思います。



ALIENS AREA


犯人の過去に惹き込まれました。明菜を特別に思う理由も伝わって来て切なかったです。

また、A3の新たな闇が明かされたシーンはゾクッとしました。犯人がA3と外5をぶつけてどちらも消滅させるという方向に進んだ気持ちも少し分かってしまいます。

そして、ラストもとても印象的でした。写楽の作戦と、すぐにそれを受け入れる泉の会話がかっこ良いですね。「外5をなめるなよ」という泉の台詞にグッと来ました。


ただ、犯人の上司が組織の秘密について自ら話すという展開には引っかかりました。当事者に伝えたらどう考えてもトラブルが起きますよね。犯人はA3の中で出世していたのですから、資料を見て知ってしまった、などで良かったのではと思います。

また、厳しいようですが犯人の主張がほぼ正論になってしまっているんですよね。外5は優秀な人材は揃っているのでしょうが、異星人の対策は明らかに十分ではないというのが正直なところです。結局は外5もA3の闇を生む原因を作っているのでは、と思ってしまうんですよね。

ですが、今週は淡々と進む構成の中に見どころがちりばめられており惹き込まれたことも確かです。静かな空気感の中で描写される会話が魅力的ですね。掲載順や内容などから判断して終わりは近いと思うのですが、もっと早くこういったシーンを描ければ結果は違っていた気がします。

全てを解決して終わるというのは難しそうですが、今回の事件についてはまとめられるのではないかと思います。写楽と辰巳が犯人も含めて脱出することに期待しています。



すごいスマホ(最終回)


終わってしまいましたね。内容や話数から見て打ち切りと判断して良いでしょう。

ただ、今週は惹き込まれる場面も多かったです。特に全一郎が修の行方を知っていたという描写と、すマホのAIの正体が明かされる場面が印象的でした。修については全一郎のモノローグを読むと亡くなっている可能性が高いとは思うのですが、断定までは出来ないとも感じます。全一郎の言う「彼」は修ではないかもしれませんしね。「予行練習」という表現にもゾクっとしました。

AIについては正直予想出来ていたのですが、大切そうにすマホを握るQと全一郎が印象的でした。特に全一郎は直前までの非道な言動とのギャップに惹き込まれました。


ですが、他のすマホ所有者の掘り下げがされないまま終わったこと、Qと全一郎の決着も描かれなかったことは正直問題では、と感じます。すマホ所有者については大量の新キャラを登場させることでいわゆるテコ入れを狙ったのかもしれませんが、それ自体正直悪手だと思うんですよね。他の所有者達が出て来た時点で掲載順も下がっていましたし、長期連載でなければ扱い切れないほどの数のキャラを登場させるのは無謀だったのでは、と個人的には感じます。

何度かこのブログでも触れていますが、やはり藻浦編が失速の一因だった気がします。藻浦のキャラを変える、もしくは全く別のエピソードを展開するなどしていれば結果は違っていたのではと思うんですよね。

藻浦編終了後は光る部分も多かったですし、絵やジャンルは好きなので終了は残念です。ただ、問題点もいくつか浮かびますし、肝心な部分が描写されないまま終わってしまったという印象なので、すごいスマホについては後日個別記事を作成する予定です。




りは「詳しくは後日別記事で書きますが、
推理ものだと特に綿密な計算が大切だったと思うんですよねー。
冨澤先生、肥田野先生、お疲れ様でした」



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週刊少年ジャンプ2022年46号感想 1/2



あかね噺


朝がおのキャラも立って来ましたねー。意外とあかねとは似た者同士なんですね。早速味方になりそうな気配も感じますw

からしの描写も印象的でした。あかねとコンビっぽくなっているところも好きですし、彼の要領が良すぎて参考にはなりませんでしたがアドバイスの内容にも納得は出来ました。また、落語家になった理由も気になりますね。あかねが関係しているのでは、と考えております。

ラストのあかねと朝顔のツーショットも良かったです。いよいよプロとして初めて落語を披露するんですね。


嫌味な敵役りゑんも印象的で、一気に読むことが出来ました。捨て耳で多くのことを学んだあかねの噺に期待しています。



ギンカとリューナ


先週登場した新キャラの正体がしっかり描写されており面白かったです。今後様々なギンカに出会うかもしれない、という部分もワクワクしますね。バリエーション豊かなギンカ達のイメージ図は、何となくカービィのコピー能力を思い出しましたw

新たな設定が描かれたのも印象的でした。強敵となりそうな禍羅も、高難易度の依頼を管理する魔術学会も気になりますね。特に魔術学会はギンカの過去とも深くかかわっているようなので興味深いです。ベレッタが言っていたように、現在のギンカになるまでに何かがあったのでしょうね。

トロッコでの脱出やダンジョンの再調査で一行がしっかり助け合っていたのも魅力的でした。中でも、今まであまり活躍出来ていなかったベレッタの掘り下げが嬉しかったです。

ラストシーンもワクワクしますね。ちなみにあまり関係ないですが、耳付きのパーカーを着ているアネモネが何気に可愛かったですw


ひとつ気になったのは、新キャラが「還る」と話していたのに最後まで説明もなくギンカ達に同行していたことです。何か理由があったのかもしれませんが、もう少し描写が欲しかったかなと思います。

全体的には一行の個性も活かされており、爽快で楽しい回でした。魔術学会編にも期待しています。



NEON VAMPIRE(金未来杯エントリー作品)


スタイリッシュな絵柄がとても印象的でした。派手な外見に反して正義感の強いエバと、遊び人風だけれど強大な力を持ったガミーも魅力的ですね。

絵柄のおかげもあり、印象に残る場面も多かったです。吸血シーンと、敵との決着が特に好きです。ガミーがエバの血を吸って本来の姿を現すのはベタですがワクワクしましたし、決着の際の「ブッ刺したくなっちまう」という台詞も良かったです。

ラストのエバの台詞も好きです。ここからガミーを忘れられない毎日が始まるのだろうなと期待が持てました。


ただ、引っかかる部分もありました。まず、見せ場は良かったのですが、全体的なストーリーについては目新しさが不足していたというのが正直なところです。吸血鬼ものは人気のジャンルですし、普段は正体を隠している主人公がヒロインの血で覚醒する、というだけでは捻りがないとも感じてしまうんですよね。普通の人間かと思ったエバも実は別の種族だったなど、内容にも個性が欲しかったところです。

また、細かいようですが世界観を把握しきれないことも気になりました。序盤で舞台は東京だと説明されていたのにキャラ名がエバ、ガミーとしか描かれないため、現代がベースのローファンタジーなのか、東京は東京でも異世界や未来の設定なのかよく分からなかったんですよね。エバやガミーはあくまでもあだ名だと明言するか、別世界ということならそれをはっきり描写しないと厳しいようですが不親切だったと思います。

何より、キャラクターデザインの既視感が強いことに引っかかりました。王道のギャルのエバはともかく、ガミーや敵の魔人までどこかで見た気がする、というデザインなのは問題だったと思います。独特の絵柄なので余計惜しいと感じたんですよね。

全体的に、絵柄は好きだけれど気になる部分が目立ってしまっていた、というのが正直なところです。連載にしやすいと思いますし応援はしたいですが、レベルの高い今回の金未来杯での勝利は厳しいかも、と考えております。絵柄が魅力的なので、また新たな作品を読んでみたいです。



りは「人気ジャンルはデザインやストーリーの個性が重要視されるので
難しそうですよねー。
スタイリッシュな絵柄で現代の吸血鬼を描いていた部分は良かったと思います」



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2022年10月14日金曜日

短期連載(打ち切り)作品解説 アリスと太陽 2/2



3 活かせていない設定が多かった


思い出せるだけでもアリスの耳について、強敵とされていたバンドのカタナビーツ、人を操れるほどの歌声を持つMIKAなど、面白そうなのに描写不足のままだった設定が多かった気がするんですよね。短命で終わったので仕方ないとも思いますが、ほぼアリスと太陽のふたりだけで進行していた序盤が長かったことも一因だったのではと考えております。

終盤に登場したカタナビーツとMIKAは掘り下げる時間がなかったのかなと思いますが、主人公のアリスの耳については序盤から伏線などをもっと描いても良かったのではと感じます。最終回でいきなり耳について言及されたときは正直悪い意味で驚いてしまったんですよね。予想出来るのはアリスの「リミットがある」という台詞くらいで、かなり唐突に思えました。たとえば耳を気にしているシーンを頻繁に入れるだけでも感じ方はもっと違ったはずです。

暗殺教室や黒子のバスケが「短期間で終了しても問題のないように物語を作っていた」というのは結構有名な話だと思いますが、連載の際はこうした慎重さも大切になる気がします。特にアリスは主要キャラですし、エピソードの区切りごとに伏線を描く、といった構成にも出来たと思うんですよね。


設定やキャラが消化不良のまま終わってしまうという現象は短命の漫画には良く見られるのですが、最終回に出すような設定はしっかり描写して欲しかったというのが正直なところです。アリスの耳以外だとMIKAもこれにあたりますね。彼女はデザインや能力が個人的にとても好きだったので余計残念でした。

MIKAは序盤から伏線を張るのは難しかったかもしれませんが、ライブやレコーディングでの歌唱シーンを少しでも挟めば印象も変わった気がするんですよね。バンドを組んでMIKAとも対決する、という展開自体が決まっていたなら、猫実や瞳子も早くに登場させればMIKAの活躍を描けたのでは、と思います。エピソードの見せ方など、全体の構成を考えることが重要なのでしょうね。



振り返ってみると、やはり音楽を表現しきれていなかったのが一番問題だったのではと思います。アリスと太陽の音楽をしっかり描写出来ていれば、他の部分にはあまり引っかからずに読めた気がするんですよね。

特にバンドを組んでからの展開は面白かったですし、個別項目でも触れたMIKAやカタナビーツが掘り下げられればもっと惹き込まれる作品になっていたのではと思います。序盤でアリスと太陽の音楽がどんなものかはっきりと示して、早い段階で猫実や瞳子を加入させれば結果は違っていた気がするんですよね。人気を獲得すれば他の設定を描く時間も確保出来たはずです。

絵も好きですし特に女子のデザインは秀逸だと思うので、テーマをしっかり表現した漫画を読んでみたいです。凸ノ先生の次回作に期待しています。




りは「特に瞳子とMIKAが好きでした。
難しいかもしれませんが、
音楽漫画自体は好きなのでまた挑戦して欲しい気もします」




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短期連載(打ち切り)作品解説 アリスと太陽 1/2

アリスと太陽 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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¥460から
(2022/10/15 07:14時点)



短期連載(打ち切り)となった作品について注目、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2018年51号にて最終回を迎えたアリスと太陽について書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。

それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。



1 音楽の魅力が伝わりにくかった


歌と演奏がテーマの作品だったのですが、音楽の良さが分かりづらかったというのが正直なところです。アリスは人を惹きつける迫力の歌唱力の持ち主、太陽は目立たないけれど楽器と作曲の腕は一流、という設定でしたが、それを表現しきれていなかったんですよね。特に序盤、アーティストとしての経験もある音楽教師の坂東先生の前で歌と演奏を披露するシーンは躍動感なども伝わって来ませんでした。また、ふたりの音楽のジャンルすら曖昧というのは問題だったと思います。

そもそも、音楽を漫画で表すのは難しいのかなと感じます。ジャンプでもヒット作は少ないですよね。先日一周年を迎えたPPPPPPはまだまだ人気になりそうですが、演奏を派手な絵で描写しているので惹き込まれるんですよね。当たり前ですが誌面から音は出ないので、ファンタジーのような表現を使うというのは上手い選択だと思います。

アリスと太陽はリアル寄りの作風なので非現実的な要素は合わなかったかもしれませんが、何か工夫は必要だった気がします。想像するだけで大変そうですが、実際に楽譜を作るなどしないと音楽漫画での成功は掴めないのかもしれませんね。


厳しいようですが、大切なテーマを描写出来ていないというのは単純に問題だったと感じます。別のジャンルを選ぶか、音楽をテーマにヒット作を生み出したいなら本格的に作曲も勉強するくらいでないと難しいのでしょうね。



2 主要キャラクターのバランスが良くなかった


美しい歌声のアリスと素晴らしい作曲、演奏能力を持つ太陽のダブル主人公だったのですが、正直ふたりとも引っかかる部分があったんですよね。ダブル主人公は上手く展開出来れば面白いのですが、キャラ設定を少し間違えると違和感が倍増してしまうという事態も起こりやすい気がしますし、そもそも扱いが難しいんでしょうね。アリスと太陽も例外ではなかったと思います。

まずアリスについては、後ろ向きな太陽を引っ張って行くタイプでキャラ的には好きなのですが、あまりにも強引すぎて魅力が伝わりにくかったとも感じます。世界征服が夢だと語る、校内放送で太陽を呼び出すなど、積極性より突飛な言動が目立ってしまっていたんですよね。消極的な太陽との対比が必要だったのは分かりますが、もう少しマイルドにしても良かったと思います。

太陽が過去のトラウマで自分に自信を持てずにいるキャラだったので、配慮せずにグイグイ来るアリスという構図が、厳しいようですがいじめを見ている気分になる部分も正直ありました。また、消極的なキャラを主人公にしてヒットを狙うこと自体が大変な気がします。ジャンプ系だとアイシールド21のセナや呪術高専の乙骨などは近いタイプだと思いますし、特にセナは強烈なキャラに振り回されるという部分も共通していますが、どちらも常識的で主人公の味方になってくれるキャラが最序盤に登場していたことが成功の理由のひとつだと思います。アイシールド21はまもりや栗田が該当しますし、乙骨のクラスメート達はかなり個性的ですが意外と真っ当な感覚の持ち主ですよね。アリスと太陽もアリスの強引さを少し抑えた上で、太陽を理解してくれるメインキャラがいればまた違った気がします。坂東先生は結構変わり者で厳しいようですが影も薄かったので、このポジションにはなれなかったんですよね。

ちなみにメインキャラについては、細かいかもしれませんがしのんの名前についてもちょっと引っかかりました。アリスの苗字が「篠原」なので、登場したばかりの頃は覚えづらかったんですよね。かのんやしおんなど似た響きの名前はたくさんありますし、わざわざ主人公の苗字と被せなくても良かったのではと感じました。


キャラについては、終盤登場した猫実と瞳子などのほうが正直好感度は高かったです。積極的な女主人公と消極的な男主人公という設定は良かったのですが、描写に引っかかる部分が多く物語に入り込めなかったんですよね。アリスが太陽の才能を見抜いて音楽に誘う、という出だし自体は王道で好きなので、アリスの基本的な性格はそのままにもう少し常識を弁えさせて欲しかったです。キャラの名前などにも配慮出来れば、もっと話を楽しめるようになったと思います。





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2022年10月13日木曜日

週刊少年ジャンプ2022年45号感想 2/2



ギンカとリューナ


迷宮の秘密と、アネモネの過去に惹き込まれました。やはり刺々しい態度にも理由があったんですね。

リューナとアネモネの共闘も良かったです。特に、師匠とは別の意味でリューナがアネモネに「笑おう」と言うシーンにグッと来ました。

そして、ラストに描かれたキャラは良い意味で衝撃的でした! ギンカの身体と関係しているのか全く別の存在なのか、どちらにしてもとても気になります。


少し気になったのは、リューナとアネモネが過ごした期間が三日とされていた部分です。あの状態ではかなり無謀だと思うんですよね。魔法で生活していた、などの具体的な説明が欲しかったところです。

ただ、先週は中だるみも感じたのですが、今週はギンカやリューナもしっかり活躍させつつアネモネの回想や救助を待つ人物の描写が上手く挟まれていて、最後まで楽しく読めました。ラストに登場したキャラの詳細も楽しみにしています。



あかね噺


弥栄亭で働くあかねの姿がとても印象的でした。正直仕事内容は地味なのですが、裏で作業をする人がいるからこそ表舞台に立つ演者は輝けるのでしょうね。大物達が次々と出入りする描写も良かったです。

また「本当に集中しなくちゃいけないのは仕事の外」とあかねが気付くシーンにも惹き込まれました。あらゆる意味で学びの場なんですね。先輩らしいからしも良かったです。

ラストのからしの台詞も印象的でした。読者としても、あかねは良い意味でとんでもないことをしてくれるのではと期待しています。


プロとして本格的に歩き始めたあかねと、さりげなくその前にいるからしがとても良かったです。次週以降のふたりの動きも見守りたいと思います。


ALIENS AREA


秘密兵器と外5殺しとのバトルが印象的でした。写楽が独断で連れて来たんですねw特に異名の由来が明らかになるシーンがかっこ良かったです。

その後は緊迫感のある展開が続き惹き込まれました。明菜の事件の犯人との対面はゾクッとしますね。自分の命を投げ出す覚悟がある敵は恐ろしいです。写楽と犯人が向き合う静かなラストシーンも印象的でした。


ただ、正直展開がかなり早足で理解が追いつかない場面も多かったです。ドームの名前も読者としては把握し切れていないので三重野からの指示がすぐには分かりませんでしたし、相手の兵装についても唐突に感じました。

また、犯人が写楽を指定していて辰巳が蚊帳の外に見えてしまったことも気になりました。このままだと辰巳がほぼ関係ないまま事件が解決に向かいそうです。

終わりが近いのかもしれませんが、最低限の説明や辰巳の活躍は挟んで欲しかったと思ってしまいます。犯人との決着は描かれそうなので、まずは次週を見守りたいと思います。



すごいスマホ


Qや全一郎はもちろんですが、瀬尾水の活躍も光りましたね。「正義を為すのは本当に難しい」というモノローグがとても印象的でした。また、日常には戻れないと覚悟したQの「弱者の俺が何かしないと」という台詞が熱いですね。

その後のQと全一郎のやりとりにも惹き込まれました。特に、ウィンクしながらワインを飲む全一郎は良い意味で気持ち悪かったですw

ニヒゥとクィンもまた登場しましたね。Qや全一郎に関心を持っている様子が印象的でした。

そして、遂にQと全一郎の対決が始まりましたね。「全一郎は脅威のコドモ」だという表現にとても納得出来ました。Qがすマホの剥奪も厭わずに全一郎の暴走を食い止めようとするラストにも惹き込まれました。


ただ、Qが家に突撃された際の対策を何も考えていなかったように見えた点は少し引っかかりました。両親が無事だったのは結局瀬尾水のおかげですよね。ここはシンプルに主人公を活躍させて良かったのではと思います。また、最近すマホを活かした頭脳戦があまり描かれていないため、剥奪に緊張感が生まれないように思えてしまったのも残念でした。

掲載順も正直低いままですし展開が急ぎ足のようにも感じるので、やはり終わりが近いのではと考えてしまいます。前にも書きましたが、藻浦が不評だったことは一因だと思うんですよね。

かなり急展開には感じますが全一郎との決着は読めそうですし、修の事件の真相やニヒゥとクィンの正体が明かされれば比較的綺麗に締めくくられる気はします。ただ、他のすマホ持ちについて分からないまま最終回を迎えるとすれば残念ですね。

とにかく今回のラストは印象的でしたし、Qやすマホの結末について予想しながら次週を待ちたいと思います。



りは「正直、藻浦編に時間をかけすぎて
頭脳戦を描けなかったのではとも感じますー。
構成を考えるのは大切ですよね」



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週刊少年ジャンプ2022年45号感想 1/2



LIFE LIAR FROM HELL(金未来杯エントリー作品)


転生を題材にした恋愛作品自体は定番ですが、前半がギャグ多めになっている構成が斬新で面白かったです。ホラにしか聞こえない話を繰り返す主人公の由人と、病身ながら激しく突っ込む沙羅の組み合わせが良いですねw画力も高く、特に沙羅がとても可愛かったです。

要所要所に笑いどころを挟みながら話が進んでいたので、中盤以降のシリアスな展開が続く構成はギャップがあり惹き込まれました。ギャグがメインだった漫画で重い設定が明らかになると違和感を覚えるケースも多いのですが、この作品は早い段階でファンタジー世界でのふたりの別れや沙羅の難病などのシリアスなシーンが描かれていたため、自然に受け入れることが出来ました。

ラストも良いですね。ふたりの再会はもちろん、映画のフィルムを思わせるコマ割りも印象的でした。序盤の由人と沙羅のやりとりが活かされているのも上手いですね。


ただ、気になる点も正直ありました。

まず引っかかったのは、沙羅の母親が非常に身勝手に見えてしまったことです。もちろん母親の行動がなければこの物語自体が生まれないわけですが、理由が不明なので悪い印象しか持てないんですよね。沙羅の父についてもほぼ掘り下げられていないので、仕事に行き詰まると妻への暴力に走っておりそれから逃れるために、などの描写を入れれば納得出来たのではと感じます。

血の繋がった親が身勝手すぎるというのは、子どももその性格を受け継いでいるのではという懸念に繋がってしまいますし、難しい設定だと思います。親のおかしさを理解していて乗り越えるために努力している、などなら逆に好印象ですが、沙羅は母の行動を全く知らずに信じていた様子なのでやはり引っかかりました。

そして、ラストの直前のシーンは、はっきり言ってよく分かりませんでした。本編もふたりの再会も、世界線や時間軸が違ったということでしょうか。そうだとしても、かなり難解なシーンになってしまっていたという印象です。

全体的には物語も綺麗に締めくくられていますし、画力も高く、とても良い作品だったと思います。読み切りとしても完結していますが、様々な世界での由人と沙羅について描くオムニバスでの連載などには期待出来そうですよね。是非また読んでみたいです。



大東京鬼嫁伝


愛火はもちろんですが、つむぎの可愛さが描かれた回でもありましたね。特撮ヒーローが好きなんですね。愛火に解説する際の「オタオタ」という表現に笑いましたw熱中しているものを語るとき早口になってしまうのはよく分かります。このブログも実際に読んだらそうなるかもしれませんw

その後、愛火が憧れのヒーローに会ってからの展開も面白かったです。怪人役の正体はほぼ予想出来ていたのですが、明かされた際にしょんぼりしている愛火が可愛かったですw

ラストシーンも良いですね。お好み焼きが美味しそうですし、一家団欒の温かさがよく伝わって来ます。


ただ、メインのはずの進太と愛火のもののけ退治が描かれず、少し話が進んで来たはずなのに新たな展開が見られなかったことは正直引っかかりました。先週が良かっただけに余計にそう感じます。序盤でのいわゆる日常回は読者が離れてしまうケースも多い気がするんですよね。今週もほのぼのした雰囲気は好きですが、正直退屈に感じる部分もありました。

ですが終盤で花札家の回想が少しだけ挟まれていましたし、次週以降の展開には期待が持てました。進太と愛火はもちろん、まつりやつむぎの更なる掘り下げにも見てみたいです。




りは「もののけ退治をもっと描いてから
今回の話を挟んだほうが良かったかもしれませんねー。
話や絵が改善されているのは好印象なので今後に期待です」





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2022年10月5日水曜日

週刊少年ジャンプ2022年44号感想 2/2



根暗闇蔵(金未来杯エントリー作品)


闇蔵の名前とネガティヴさが笑えました。そのおかしさに反して技の名前がかっこ良いところも魅力ですね。回想シーンに出て来る同級生の女子が何故かたらこ唇なのも印象的でしたw

闇蔵以外のメインキャラも良かったです。日外は飄々としていて闇蔵への対応にも慣れた様子が面白いですね。また、誰かとのツーショット写真がタクシーに飾られていたことも気になりました。病院で撮影されたようですし、台詞と合わせて考えると、闇蔵に大切な存在を救われたのかも、と想像しています。

亡き夫と同じ夢を追う正義感の強いライザも魅力的でした。多くの人々に慕われている彼女がネガティヴすぎる闇蔵に助けられる、という構成が良いですね。「想像することは起こるし成せます」という闇蔵の台詞もとても印象的でした。ラストシーンも綺麗で、読後感も良かったです。


ただ、闇蔵が地味に辛い過去を思い出してピンチを乗り越える、という展開が続いており、少しワンパターンに感じる部分もありました。また、アクションシーンの迫力は良かったのですが他のページはあまり描き込まれておらず、全体的に背景が白っぽいように思いました。画力も正直まだそこまで高くない気がするんですよね。

キャラが面白く内面に惹き込まれたのですが、金未来杯で勝ち抜くのは少し難しいかもしれません。ただ、題材自体は連載にも向いていると思うので、また山本先生の作品を読んでみたいです。



すごいスマホ


物語が大きく動きましたね。一般人、他のすマホ持ち、Q達、全一郎と伊村、瀬尾水、ニヒゥとクィン、など、それぞれの視点が描かれ面白かったです。特に瀬尾水が全一郎を疑い始めた場面に惹き込まれました。

描写としては短いですが、結歌がQのすマホについてほぼ確信している様子なのも印象的でした。今後は本筋に関わって来るのかもしれませんね。

また、全一郎のインパクトは今週も健在でしたねwQの情報を聞いた際に激昂するシーンは最初思わず笑ってしまいましたwですが、意味深な反応だと言える気もします。

その後、遂にQ達が全一郎と修誘拐事件の繋がりに辿り着く展開はとても緊張感がありました。意外なキャラが全一郎や事件に関わっているという情報にも驚きました。今後のキーパーソンになりそうですね。

ニヒゥとクィンのやりとりも面白かったです。とりあえず「普通の地球人」ではないことは明らかになりましたね。

ラスト、全一郎の策略でQがピンチに陥るシーンにも惹き込まれました。ですが、Qは何かしらの手を打っているのではとも感じます。


ただ急展開だった影響か、正直引っかかる部分もありました。特に気になったのはQ達が署内で事件について調べていた場面です。捜査資料を見るためには瀬尾水との交渉が必要だったと思うのですが、完全に描写が省かれているんですよね。何故Q達が署内に入り込めているのかという疑問が浮かんでしまいました。

核心に迫るような設定も明かされ終了が近いのでは、という不安もありますが、掲載順は少し回復して来ましたよね。今のペースなら修誘拐の真相とすマホ誕生の秘密などは分かるのかなと思います。いずれにしても気になる引きだったので、次週を楽しみにしています。



忍野さんは耐え忍ぶ(読み切り)


ほのぼのとした作風で、クスッと笑えるシーンも多かったです。ひたすら真っ直ぐな武田と、妄想の激しすぎる忍野の組み合わせが楽しいですwメンキャラふたりに好感が持てるのは良いですね。また、忍野は過剰反応ではあるのですが、アイドルとしてファンを思っている証拠なのかなとも感じました。

絵柄も派手さは少ないですが個人的には好きです。特に保健室で忍野が横になっているシーンはドキッとしました。


少し気になったのは、絶世の美少女とされている忍野に華がないように見えてしまった点です。アイドルとして前線に立ってもてはやされるようなタイプとは正直違う気がしたんですよね。どちらかというと地味可愛い、というような表現がしっくり来ます。また、真っ直ぐな男子と深読みし過ぎる女子という設定だけで戦うのはやや難しいかも、とも感じます。

絵柄を変えてもう少し個性を出せば大きく変わるかと思います。ふたりのやりとりは微笑ましいですし、是非また読んでみたいです。



ALIENS AREA


外5が団結して任務にあたる描写が熱かったです。それぞれの班長の強さが分かったのも良いですね。特に泉の兵装や能力が印象的でした。鳥やネズミも可愛いですw

室生とのやりとりの後、写楽と辰巳が地下に潜入する展開にも惹き込まれました。兵装が使えなくなるというピンチも緊迫感がありますね。

得体のしれない敵キャラも印象的でした。ラストで写楽が用意していた「対策」にも、良い意味で予想を裏切られました。


ただ、地下への潜入作戦自体は良かったのですが、特に前半絵が荒れているように見えたことが気になりました。夢子の目などは以前とほぼ別人レベルに違いますよね。先週まで丁寧に描かれていたので正直残念でした。

そして、写楽の「秘密兵器」も意外ではあったものの、厳しいようですが読者として期待していた内容とは違ったんですよね。次週以降盛り上げられるのかという不安も感じてしまいます。

掲載順も回復していませんし大きな組織との対決という展開になっているので、やはり終わりが近いのかなと思ってしまいます。今の展開自体は面白いので、手を抜かずに締めくくって欲しいです。



りは「短命でも絵やキャラの扱いが丁寧だと好感が持てます。
終わりが近いのだとしても、外5の活躍をしっかり描いて欲しいです!」



週刊少年ジャンプ2022年44号感想 1/2



ギンカとリューナ


キャラの個性が際立つ回でしたね。がめついけれど確かな実力者のギンカ、真っ直ぐで勇敢なリューナ、不器用ながら真面目なベレッタ、それぞれの内面がよく分かりました。新キャラのアネモネも生意気だけれど非常に優秀な魔術師、という設定で惹き込まれました。リューナの「誰が解決しても~」という台詞も良かったです。

ところどころに挟まれるギャグも笑えました。特にアネモネに「デブ」と言われて落ち込むギンカを「ソンナコトナイ」と励ますリューナとベレッタが好きですw

また、ロッククラブの群れが集まって来る描写は良い意味で緊張感がありました。だからこそ、サクッと片付けてくれたギンカの強さが際立ちますね。


ただ、規格外の魔術師であるギンカとリューナがあっさりと問題を解決する、という展開が続いており、正直少しワンパターンにも思えました。ふたりとも魔術を使うシーンでのモノローグが少なく、作戦を練る描写などがないのも変化を感じにくい原因だと思います。

話が不快というわけではないので、今後ふたりの内面がもっと伝わって来ればより良くなるはずです。迷宮での事件の黒幕が何者なのか、次の展開を予想しながら待たせていただきます。



あかね噺


内容はもちろん、キャラ達のファッションや髪型も見どころですね。冒頭で雑務をこなすあかねのポニーテールとエプロン、粗忽Tシャツのぐりこ兄さん、からしがラフな格好で髪をまとめていたのも良かったです。特にあかねは、どこかが著しく変わったわけではないのに大人っぽくてドキッとしました。

また、あかねとからしが対面する展開はほぼ予想通りですが面白かったです。先輩風を吹かせるからしはもちろん、からしに会ってホッとするあかねの顔に笑いましたw先輩兼ライバルとはいえ、少しでも知っている相手がいると安心するのは分かる気がします。

修行の舞台となる弥栄亭の絵も良いですね。数多くの落語家達が切磋琢磨した場所ということで、あかねの緊張感が伝わって来ました。

新キャラ達にも惹き込まれました。のんびりした雰囲気の雲うんと、やや柄の悪そうな朝がお、ふたりとも印象的でした。また、朝がおについては厳しい先輩のままでも良いのですが、あかね達の味方になるのも早いのでは、と予想しています。


遂に前座修行編が始まり、とてもワクワクしました。あかねはもちろん、からしの活躍も描かれそうですね。次週を楽しみに待ちたいと思います。



大東京鬼嫁伝


服と髪型を変えた愛火が可愛いですね。まとめ髪だったこともあり、普段より少しだけ大人っぽく見えました。進太のモノローグが多く、愛火に対する気持ちが分かりやすいのも良かったです。

今回初登場した拾遺もののけ図鑑は今後も活かせそうですね。自分の情報に「キレやすい」と書かれていて怒る愛火に笑いましたw

もののけ退治の描写も面白かったです。吉橋の店にさりげなくつむぎがいるのも良いですね。もののけと真っ向勝負するのかと思いきや、あっさり予想を裏切る愛火が印象的でしたwですが、迅速に退治するためには必要だったのかなとも感じます。

ラスト、電車の中で指切りをする進太と愛火も良かったです。進太のほうから誘ったせいか、可愛らしいシーンなのですが少しドキッとしました。


少し引っかかったのは、電車の中での愛火の笑顔に「にぱーっ」という擬音が描かれていたことです。第一話から思っていましたが、愛火の口調は「ひぐらしのなく頃に」シリーズの梨花と同じなんですよね。笑うときの表現まで被せると、正直既視感が増してしまうと思います。

またもうひとつ、愛火が今回の服装を「初めてのお洋服」と言っていたことにも違和感がありました。十年前に進太と会った際はワンピースを着ていましたよね。

ただ、それ以外はもののけ退治もスムーズに読めましたし、ときめく描写も含めて面白かったです。コマ割りに戸惑うこともほぼなくなりましたし、進太と愛火がどう戦って行くのか、またふたりの関係は少しずつでも変化して行くのか、楽しみになりました。次週にも期待しています。



りは「早い段階で弱点の改善が見られるのは嬉しい変化ですねー。
可愛くてキュンとする進太と愛火のやりとりが好きです」