新品価格 |
短期連載(打ち切り)となった作品について注目、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2018年51号にて最終回を迎えたアリスと太陽について書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。
それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。
1 音楽の魅力が伝わりにくかった
歌と演奏がテーマの作品だったのですが、音楽の良さが分かりづらかったというのが正直なところです。アリスは人を惹きつける迫力の歌唱力の持ち主、太陽は目立たないけれど楽器と作曲の腕は一流、という設定でしたが、それを表現しきれていなかったんですよね。特に序盤、アーティストとしての経験もある音楽教師の坂東先生の前で歌と演奏を披露するシーンは躍動感なども伝わって来ませんでした。また、ふたりの音楽のジャンルすら曖昧というのは問題だったと思います。
そもそも、音楽を漫画で表すのは難しいのかなと感じます。ジャンプでもヒット作は少ないですよね。先日一周年を迎えたPPPPPPはまだまだ人気になりそうですが、演奏を派手な絵で描写しているので惹き込まれるんですよね。当たり前ですが誌面から音は出ないので、ファンタジーのような表現を使うというのは上手い選択だと思います。
アリスと太陽はリアル寄りの作風なので非現実的な要素は合わなかったかもしれませんが、何か工夫は必要だった気がします。想像するだけで大変そうですが、実際に楽譜を作るなどしないと音楽漫画での成功は掴めないのかもしれませんね。
厳しいようですが、大切なテーマを描写出来ていないというのは単純に問題だったと感じます。別のジャンルを選ぶか、音楽をテーマにヒット作を生み出したいなら本格的に作曲も勉強するくらいでないと難しいのでしょうね。
2 主要キャラクターのバランスが良くなかった
美しい歌声のアリスと素晴らしい作曲、演奏能力を持つ太陽のダブル主人公だったのですが、正直ふたりとも引っかかる部分があったんですよね。ダブル主人公は上手く展開出来れば面白いのですが、キャラ設定を少し間違えると違和感が倍増してしまうという事態も起こりやすい気がしますし、そもそも扱いが難しいんでしょうね。アリスと太陽も例外ではなかったと思います。
まずアリスについては、後ろ向きな太陽を引っ張って行くタイプでキャラ的には好きなのですが、あまりにも強引すぎて魅力が伝わりにくかったとも感じます。世界征服が夢だと語る、校内放送で太陽を呼び出すなど、積極性より突飛な言動が目立ってしまっていたんですよね。消極的な太陽との対比が必要だったのは分かりますが、もう少しマイルドにしても良かったと思います。
太陽が過去のトラウマで自分に自信を持てずにいるキャラだったので、配慮せずにグイグイ来るアリスという構図が、厳しいようですがいじめを見ている気分になる部分も正直ありました。また、消極的なキャラを主人公にしてヒットを狙うこと自体が大変な気がします。ジャンプ系だとアイシールド21のセナや呪術高専の乙骨などは近いタイプだと思いますし、特にセナは強烈なキャラに振り回されるという部分も共通していますが、どちらも常識的で主人公の味方になってくれるキャラが最序盤に登場していたことが成功の理由のひとつだと思います。アイシールド21はまもりや栗田が該当しますし、乙骨のクラスメート達はかなり個性的ですが意外と真っ当な感覚の持ち主ですよね。アリスと太陽もアリスの強引さを少し抑えた上で、太陽を理解してくれるメインキャラがいればまた違った気がします。坂東先生は結構変わり者で厳しいようですが影も薄かったので、このポジションにはなれなかったんですよね。
ちなみにメインキャラについては、細かいかもしれませんがしのんの名前についてもちょっと引っかかりました。アリスの苗字が「篠原」なので、登場したばかりの頃は覚えづらかったんですよね。かのんやしおんなど似た響きの名前はたくさんありますし、わざわざ主人公の苗字と被せなくても良かったのではと感じました。
キャラについては、終盤登場した猫実と瞳子などのほうが正直好感度は高かったです。積極的な女主人公と消極的な男主人公という設定は良かったのですが、描写に引っかかる部分が多く物語に入り込めなかったんですよね。アリスが太陽の才能を見抜いて音楽に誘う、という出だし自体は王道で好きなので、アリスの基本的な性格はそのままにもう少し常識を弁えさせて欲しかったです。キャラの名前などにも配慮出来れば、もっと話を楽しめるようになったと思います。
レビューランキング
にほんブログ村
0 件のコメント:
コメントを投稿