2022年10月26日水曜日

週刊少年ジャンプ2022年47号感想 2/2



龍と僵尸(読み切り)


渋い絵柄が印象的でした。短い中でしっかりキャラを描写出来ているのも上手いですね。がめつく見えて村人達を思いやっていた千刃道士、素朴なヒロインの睡明、どちらも魅力的でした。

表情の描写も上手いですね。特に「待っていたぞ」の不敵な顔が好きです。

締めくくりも綺麗ですね。切なさは残るものの、道士は悲願を遂げてその行いは千年後も正しく評価されているということで、読後感は良かったです。


ただ、いくつか気になる部分もありました。まず、せっかくの戦闘シーンが正直迫力に欠けるように見えたんですよね。決めゴマが小さかったことが主な原因かと思います。ページ数が短いので仕方ないかもしれませんが、もう少し工夫して欲しかったとも感じます。

また、展開にもそこまでの意外性がなかった気がします。道士が実は人々のことをきちんと考えていた、という場面は印象的でしたが、それ以上の驚きがなかったんですよね。あと少しで良いので盛り上がりが欲しかったところです。

大きな欠点はないのですが、強く惹き込まれるシーンもなかったと感じます。絵やキャラは好きなので、しっかりと構想を練った作品を読んでみたいです。



ALIENS AREA(最終回)


終わってしまいましたね。明かされていない設定なども残っていますし、話数から考えても打ち切りと判断して良いでしょう。

ただ、最終回は惹き込まれる場面も多かったです。外5、特に写楽班の連携が印象的でした。また、犯人が髪をかきあげたときの表情も良かったです。

炎が迫る建物からの脱出作戦の後、犯人の保護と逮捕のために動く辰巳達にも惹き込まれました。手を伸ばす辰巳が特に良かったです。

ラストシーンも印象的でした。景色を見ながら静かに語り合う写楽と辰巳がかっこ良かったです。


敗因としては、そもそも話の方向性が定まっていなかったことがひとつ挙げられるかと思います。二ノ太刀との戦い辺りまではSF要素を含むバトル漫画になって行くのだろうと考えていたのですが、早い段階で戦いの描写がほぼなくなってしまったんですよね。もちろん路線変更自体は構わないのですが、それでも辰巳の戦いでの活躍は見たかったというのが正直なところです。彼のバトルを描いた上で、アンケートなどが不調だった場合に別の方向を考えたほうが良かった気がします。

また、ダブル主人公だと思っていたのに、結局写楽ばかりが目立っていたことも最後まで引っかかりました。厳しいようですが、これは読み切りの際も感じた問題点だったんですよね。以前にも書きましたが、あくまでも話を進めるのは写楽という構成なら、辰巳のポジションにはヒロインを据えたほうが自然だったかと思います。

そして、終盤は惹き込まれる展開が多かったものの、写楽と辰巳が所属する外5の問題が浮き彫りになったことも気になりました。正直、異星人を取り締まってはいても何も解決出来ていないのではと感じてしまうんですよね。最後の事件に繋げるためだったのだとは思いますが、犯人の逮捕を優先していて被害者や家族のケアにまで手が回っていない、などの設定で良かったのではと考えてしまいます。

写楽と犯人の対面やラストシーンの写楽と辰巳などは良かったので、那波先生はバトルやアクションよりも会話劇を静かに描写する作品などのほうが向いているのではとも感じました。ただ、最後の事件は無事に解決しているので、単独記事の作成は予定しておりません。絵はとても好きですし印象的な場面を描けるのは武器だと思うので、長所を活かした作品をまた読んでみたいです。



りは「無理にダブル主人公にせず、
写楽単独で描いたほうが良かったかもしれませんねー。
那波先生、お疲れ様でした」



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