2023年5月27日土曜日

週刊少年ジャンプ2023年25号感想



鵺の陰陽師


序盤の制服姿の鵺にグッと来ました。少しだけ語られた陰陽師の存在も気になるところですね。

また、学郎と鵺がカードゲームを楽しむ様子も良かったです。娯楽に関しては意外と負けず嫌いな学郎の描写が印象的でした。

その後、学郎と鵺が幻妖にとり憑かれた教師を助けるという展開は定番ですが、カードでクラスメート達の目を隠すというのは斬新すぎて笑ってしまいましたw周囲から少し認められた学郎が鵺のところで休んでいるラストシーンも良かったです。


ただ、男子達がいきなり教師を壁に追いやろうとするなど、展開に違和感を覚える箇所も正直多かったです。また、前回「真面目で曲がったことが嫌い」というキャラが確立していた膳野が鵺に対して過剰に反応しているところなども気になりました。

鵺が可愛く、学郎が主人公として活躍している点は面白かったのですが、今週も気になる箇所が目立ってしまっていたのは残念でした。陰陽師についてなど興味深い情報も出て来たので、次週以降の改善に期待させていただきます。



テンマクキネマ


姫希の演技にとても惹き込まれました。特に海に横たわっての泣き顔にドキッとしました。

学生映画コンクールの存在が描かれたのも良いですね。天幕の「俺の脚本が~」という台詞にも説得力がありました。

本格的にクランクインとなったラストも良かったです。予算不足などをどう乗り越えて行くのかにも注目したいと思います。


ただ、せっかく撮影開始の描写が入ったのに、部活の仲間達のキャラが正直薄くいまいち盛り上がりに欠けるなとも思ってしまいました。前回も書きましたが、今回でようやくクランクインというのも展開が遅い気がします。構成を見直した上で、仲間達をもっと丁寧に掘り下げたほうが良かったのではと思うんですよね。

元と姫希のカメラテストのシーンには惹き込まれたのですが、他のキャラの薄さに引っかかってしまったのは残念でした。本番の姫希の演技での巻き返しに期待させていただきます。



ドリトライ


青空の初めての実戦が描かれて、惹き込まれました。卑怯者を正攻法で懲らしめるという展開も良い意味で分かりやすくて面白かったです。

観戦している黒岩のモノローグも印象的でした。相手の反則に気付きながらも「正直者じゃ勝てねえ」と冷静に分析している様子が良かったです。

ラストの青空と黒岩のツーショットにもグッと来ました。銀シャリに喜ぶ青空と、バックの銃声のギャップに惹き込まれました。


少し引っかかったのは、頑丈さや精神力の強さを強調するという流れがそろそろワンパターンに見えて来たところです。また、一話でケンカは弱いと言われていた青空が、実戦であそこまで戦えるだろうかという点も気になりました。短くて良いので修行のシーンがあれば印象も変わったかと思います。

全体的には、拳闘への参加条件や青空の実戦がしっかり描かれており、面白かったです。本格的な青空の活躍にも期待させていただきます。



暗号学園のいろは


冒頭のアンヴァリッドと享楽の会話に良い意味で驚きました。ちなみに暗号には見事に引っかかってしまいましたw

また、先週から思っていたのですが享楽と愁嘆の仲も気になりますね。愁嘆の「しゅーたんみたいに~」という台詞にも惹き込まれました。

その後のいろはと凍のやりとりも面白かったです。凍と家雪の関係が描かれたことが特に印象的でした。

ラスト、同盟を結んだいろは、享楽、凍のスリーショットもとても良かったです。ただ、凍の「社風が嫌」という台詞には思わず共感してしまいましたw


アンヴァリッドの意外性やキャラクターの掘り下げが印象的で、面白かったです。次週以降のいろは達の活躍に期待させていただきます。



キルアオ


遼の姉(アネゴ)のキャラが意外で面白かったです。部活で十三の古すぎる価値観を正す、という展開も良かったです。

おにぎりと味噌汁作りに取り組む十三の描写も面白かったです。アネゴの「料理ってのは~」という台詞にも共感出来ました。

そして何より、ラストが衝撃的でした! ノレンがヒロイン枠なら盛り上がりそうだとは思っていたのですが、良い意味で驚かされました。十三の反応はとても妥当ですねw


少し引っかかったのは、十三の実年齢を踏まえると考え方が古すぎるように見えたところです。特殊な環境で育ったことが理由の価値観なら、過去のシーンを挟んだりコタツに突っ込ませたりするほうが説得力が出たと思うんですよね。

全体的には、家庭科部やアネゴの描き方が印象的で、一気に読めました。コタツの言葉の真意が気になりますし、次号以降も楽しみです。



一ノ瀬家の大罪


翼と中嶋の会話が印象的でした。「翼が目覚めてくれて~」という台詞と、夢について話すシーンが特に良かったです。繰り返し見る夢について素早く調べるシーンは、以前秀太の素性をすぐに突き止めていたことを思い出しますね。

また、目覚めた後も変わらない夢を見るという描写にも惹き込まれました。確かに現実ではまだ家族の問題が解決していませんからね。

終盤、翼が帰宅するシーンも印象的でした。成長した詩織の台詞も気になりますね。


少し引っかかったのは、翼が夢の中でもそこまで活躍していなかったように思えてしまったことです。失敗して泣いているシーンも多かったですし家族をしっかり救えていたわけでもないので、せっかくの夢なのにあの程度だったの?と正直感じたんですよね。夢の中で翼をヒーローとして活躍させてから今週の展開になれば良い意味で衝撃的だったのではと思います。

全体的には惹き込まれたのですが、肝心の夢という部分が気になってしまったのは残念でした。次号耕三や幸恵も登場するようなので、更なる展開に期待させていただきます。



人造人間100


側近の素顔が早速明らかになり、惹き込まれました。かなり強敵ですが、今までの人造人間達とは少し雰囲気が違いデザインとしては好みです。

苦戦する100の描写も斬新で印象的ですね。特に瓦礫に投げ出されるシーンに惹き込まれました。No.1によって改良された人造人間なら100と同等なのでは、ということは予想出来ていたのですが、それでも目が離せませんでした。

ラストの100の過去にも惹き込まれました。「せっかく私が~」というモノローグが特に良かったです。


展開もスピーディーで、ラストに気になる展開が描かれ、面白かったです。次週センターカラーということで少し驚きましたが、100の過去がしっかり描写されるように願っております。



りは「ここで過去編に入るのは良い意味で予想外でした。
100の内面が掘り下げられれば更に面白くなりそうですね」



レビューランキング

にほんブログ村 漫画ブログ 漫画感想へ
にほんブログ村

2023年5月20日土曜日

週刊少年ジャンプ2023年24号感想 2/2



テンマクキネマ


姫希とのロケハンの道中が面白かったです。特にインサートショットの撮り方や、役所の観光課で撮影の際のルールを聞けるという描写などが勉強になりました。

また、姫希の可愛さがしっかり表現されている点も良かったです。中でも元に瓶入りのドリンクを飲むか尋ねるシーンにドキッとしました。

ラストの役作りの場面にも惹き込まれました。天幕の「姫希ちゃんは~」という台詞も良かったです。


ただ、今回単体で見れば面白かったのですが、未だにショートの作品も完成していないのは正直テンポが悪いのでは、とも感じました。姫希主演で映画を撮るということは1話時点で決まっていたのですから、前回までのロケハンなどをもっと短縮して今週大体の内容が出来上がるくらいでちょうど良かった気がするんですよね。

映画作りに奮闘する元達や美しい背景は印象的だったので、進みの遅さに引っかかってしまったのは少し残念でした。次週以降の改善に期待させていただきます。



一ノ瀬家の大罪


翼の夢についての描写が切ないですが印象的でした。過酷な状況でも翼の理想が反映された内容だったということですね。

翔と美奈子の仲の良い様子にも惹き込まれました。特にふたり揃って甘口のカレーを持って来るシーンが印象的でした。

終盤、自分の無力さを痛感した翼が屋上に向かう展開も目が離せませんでした。そこで中嶋と再会するというラストも良かったです。


ただ、翼の描写には正直少し引っかかりました。夢の中でもうひとりの自分に語りかける際は周囲にも失望していてかなり暗い様子だったのに、今回は取り乱したりツッコミを入れたりする場面も多く普通の少年のように見えるんですよね。目覚めた後の翼の変化は楽しみだったのでちょっと残念でした。

ですが、耕三と幸恵、詩織や颯太の描写も全くないですし、まだまだ問題は残っていますよね。惹き込まれる展開が多く、そしてとても続きが気になりました。まずは中嶋との会話に期待させていただきます。



暗号学園のいろは


慕の描写がとても印象的でした。とりあえず性別も不詳、色々と謎めいたキャラなんだなという認識でいます。

また、いろはに厳しいことを言った後速攻で落ち込む綿菓子も良かったです。キャラのブレない多夕も好きですw「普通の人間は~」という綿菓子の台詞も良かったですw

綿菓子と多夕が以前いろはに渡した暗号の真相も面白かったです。残りのパスワードも今後の鍵になって来そうですね。

アンヴァリッドが享楽に接触するラストにも惹き込まれました。次回以降、ふたりがどんなやりとりをするのかも気になります。


早速何人かの兵長について描かれ、最後まで一気に読めました。次回掲載順も急上昇ということで、まだまだストーリーを読めそうで楽しみです。他の兵長の掘り下げにも期待させていただきます。



人造人間100


冒頭のNo.1の描写が印象的でした。他の人造人間達とは違った方向に好奇心が湧いたんですね。

その後、No.1と対峙する100の迫力も良かったです。「私の言う通り~」という台詞も印象的でした。

No.1と100の立ち位置を活かしたバトルシーンにも惹き込まれました。ラストの100の「我儘は~」という台詞も良かったです。


展開も早く一気に読めたのですが、No.1と100のバトルはもう佳境に入ったようにも見えますし、やはり終わりが近いのかなとは感じてしまいました。ふたりの戦いが決着すれば中途半端にはならないのではとも思うので、最後までストーリーを見守らせていただきます。




りは「ふたりのバトルはもちろん、あしびと100の今後も気になりますねー。
まずはNo.1との戦いに勝って欲しいです!


レビューランキング

にほんブログ村 漫画ブログ 漫画感想へ
にほんブログ村

週刊少年ジャンプ2023年24号感想 1/2



鵺の陰陽師(新連載)


幻妖が見える気弱な主人公、学郎と、60年間学校に囚われているマイペースな鵺のキャラがそれぞれ印象的でした。特に鵺の部屋にゲームや漫画が溢れている描写には笑いましたw

主人公が力に目覚めて敵を倒すというのは退魔物の第一話としては定番の展開ですが、助ける相手が性格の悪いクラスメートというのは斬新ですね。学郎の人柄が表れている気がします。

鵺の「私が必ず~」という台詞も良かったです。ラストの学郎の「いつもみたいな~」というモノローグにもグッと来ました。


ただ、引っかかる部分も正直目立っていた印象です。まず、真面目そうな外見に反して不良に言い返す、学郎達のために自分が囮になる、というクラスメートの膳野のインパクトが強すぎました。友人キャラが個性的、というのはもちろん悪いことではないのですが、完全に主人公の学郎が霞んでしまっているんですよね。

こうなった理由のひとつとして、学郎の過去があまり掘り下げられていなかったことが挙げられるかと思います。幻妖が原因で親を失ったという経験がもっとしっかり描かれていれば違う印象になったはずなんですよね。

ちなみに細かいことかもしれませんが、鵺との会話の後すぐに実体化した幻妖が現れる展開も唐突に感じました。もう少し前振り的な描写が必要だった気がします。

はっきり言って粗も多かったというのが現時点での感想です。ただまだ第一話なので、今後の巻き返しに期待させていただきます。



ドリトライ


期待通り、青空が本格的に拳闘に取り組むまでの流れがしっかり描かれており面白かったです。星の入院の維持費について説明があったのも良かったです。

優華の正体も早速明らかになりましたね。組や拳闘についての描写も分かりやすかったです。頑丈さを武器に黒岩の猛攻から逃げ回り耐え続ける青空も印象的でした。

黒岩の「腹括って~」という台詞にも納得出来ました。ちなみに個人的にはヤクザを過剰に持ち上げるような作品は正直苦手なのですが、ドリトライは混沌とした時代が舞台になっていること、青空がモノローグで突っ込んでいることから引っかからずに読めました。この辺りは設定が上手いですね。

「最高の~」という優華の台詞も良いですね。ラストの青空の笑顔も印象的でした。


ただ、今週で青空の対人戦を描いても良かったのではとも感じたんですよね。今のところ頑丈さと根性しか長所が分からないので、ボクシング漫画としてはちょっと物足りない気もします。スパーリングでも良いので戦う青空を見てみたかったです。

全体的には、熱くスピーディーな展開で一気に読めました。今後の青空の成長にも期待させていただきます。



キルアオ


十三のノレンの救出劇が面白かったです。自分の正体を悟られないようにカバンを被せるシーンに笑いましたw

また、ノレンが握っているというミツオカ製薬の秘密も気になりますね。モノローグからすると彼女は本当に知らないようなので、いつも持っている道具にデータが隠されている、などの展開を予想しています。

悪党達にアドバイスを送る十三も印象的でした。特に「古い考え方かもなぁ」という台詞が良かったです。

ラストの十三とノレンのやりとりも微笑ましかったです。小さな文字で書かれていた「トッピングはムリ」という台詞が好きですw


少し引っかかったのは、気絶したノレンをどう家に送ったのか分からなかった点です。そのまま部屋に運んだなら両親への説明などが必要だったはずですし、描写を省いてしまうのはもったいないのではと思ってしまったんですよね。たとえばノレンを送り届けるのは家の前までにして、帰宅前に意識を取り戻した彼女が「夢だったのかな?」と考える、などのほうが自然だった気がします。

また、敵のアジトに乗り込んだ際のアクションが派手すぎて、中学生レベルに身体能力が落ちているという設定と矛盾しているようにも見えました。小柄だからこそ可能になった作戦などを描いたほうが面白かったのではと思います。

話はスピーディーに進みましたし少し打ち解けた様子の十三とノレンも微笑ましかったのですが、気になる部分も目立ってしまっており残念でした。次週以降は新たな展開になりそうなので、改善に期待させていただきます。




りは「欠点はあったものの、ノレンの掘り下げ自体は楽しかったですー。
今後の十三との関係も見てみたいですね」



レビューランキング

にほんブログ村 漫画ブログ 漫画感想へ
にほんブログ村

2023年5月13日土曜日

週刊少年ジャンプ2023年23号感想 2/2



一ノ瀬家の大罪


ラストが衝撃的でとても惹き込まれました。今までの流れからありうるかもと思っていた展開でしたが、次週以降どうなって行くのか気になります。

翼の小学生時代のプラネタリウムのシーンも印象的でした。特に耕三との思い出を語る幸恵が切なく惹き込まれました。

過去の翼が記憶喪失となった翼に話しかける場面が多いのも印象的でした。「さよなら」という台詞がラストに繋がって行く構成も上手いですね。


ただ、ラストに惹き込まれたことは確かですが、また別の方向に話が進んでしまったなと感じたのも事実です。ひとつの問題が解決する前に別のエピソードが描かれるので、話に乗りにくいんですよね。今週も翼は目覚めないほうが良いのではという描写を挟んだ直後にあのラストだったので、急展開すぎて少し戸惑ってしまいました。

良いシーンは多いのに、ストーリーを把握しきれないような構成になっているのは残念に思います。物語が大きく動いたことですし、この点は今後改善して欲しいです。

最終回が近いのではとも感じるのですが、最初の福井の事故についての詳細、家庭が崩壊してしまった一番の理由、颯太の正体など、まだまだ気になる点も多いですよね。今後の展開に期待したいと思います。



MaMa(読み切り)


かつて一流の殺し屋だった主人公(花)が大切な我が子の初めてのおつかいを見守る、というあらすじが面白かったです。ギャグシーンも好みのものが多くて笑えました。特に自分が気絶させた相手に息子(愛)の素晴らしさを語っているところが好きですw

主人公の花と息子の愛のキャラも面白かったです。中盤に少しだけ描かれた花の生い立ちもとても壮絶ですね。そんな過去を乗り越え今は全力で息子を愛しているという部分がよく伝わって来ました。

終盤で描写された愛の秘密にも良い意味で驚きました。花が愛を尾行していたのはこれを隠すためでもあったんでしょうね。「母だから」という台詞もとても良かったです。


ページ数は短いですが、花や愛のキャラが魅力的で楽しかったです。ギャグも好きですし連載にもしやすそうなので、是非また花達の活躍を読んでみたいです。



人造人間100


あしびの休息日と回想シーンの描写が印象的でした。特に「姉さんは俺に~」というモノローグに惹き込まれました。

畑を耕す男性との和やかな会話シーンから、No.1達の急襲に転換する構成も上手いですね。あどけない顔で倒れた男性に近付くNo.1にゾクッとしました。「俺はお前を~」というあしびの台詞も良かったです。

ラストのあしびと100のツーショットにも惹き込まれました。「それは俺の~」というあしびのモノローグも良かったです。


ただ、初登場の男性がいきなり退場してしまう部分などは正直少し雑ではと思ってしまいました。掘り下げもほとんどなかったので、No.1の「こいつの足良さそう」という台詞にも共感出来ないんですよね。

また、目が離せない展開が続いたことは事実ですが、No.1達が突如襲って来るなどストーリーが急に進んでいるような気もしました。掲載順的にももうすぐ終わってしまうのかなという懸念はありますが、次回以降を見守りたいと思います。



暗号学園のいろは


ずっと気になっていたいろはの過去が描かれ、惹き込まれました。とても壮絶でしたが目が離せませんでした。親友を失った経緯、戦争を嫌う理由、クラスメート全員の表情を読み解く能力の秘密なども分かり、辛いですがいろはの魅力が増したようにも思います。

最終決戦で競った享楽達がいろはに投票する、という流れにも惹き込まれました。ちなみに鹵獲の暗号はわりとすぐに読み解けました。享楽の「確かに私達にも~」という台詞も良かったです。

クラスメート達の前で演説するいろはもかっこ良かったです。ラストに登場した他の組の学級兵長達も興味深いですね。


いろはの過去、新展開に向けての新たなキャラクター達など、見所が多く面白かったです。掲載順が心配ですが気になるキャラも多いので、次週以降を楽しみに待たせていただきます。




りは「他のクラスの学級兵長達が凍とどんな関係なのかも気になりますねー。
まだまだ困難は多そうですがいろはを応援したいです!」



レビューランキング

にほんブログ村 漫画ブログ 漫画感想へ
にほんブログ村

週刊少年ジャンプ2023年23号感想 1/2



ドリトライ(新連載)


喧嘩は弱いけれど根性と忍耐力を持った主人公(青空)が謎の女性(優華)との出会ったことで拳闘(ボクシング)の世界に入る、という流れが熱くて良かったです。戦中、戦後の厳しさがしっかり描かれていることにも辛いですが惹き込まれました。特に父の強さを受け継いでいた妹(星)が戦後病に倒れてしまったという設定が印象的でした。

星のために暴力団の事務所に乗り込み、攻撃に耐え続ける青空もかっこ良かったです。父は亡くなっているかもしれないと思いながらそれでも構わない、と自分を奮い立たせるシーンも熱かったです。

眼帯をした謎の女性、優華の正体や真意も気になりますね。ラストの青空の「俺の心が~」というモノローグも印象的でした。


雲母坂先生は前作のボーンコレクション(陰陽師の少年ががしゃどくろの女性と出会ったことから始まる退魔コメディ)の頃から知っているのですが、正直こちらはかなり問題点が目立っていたんですよね。ドリトライは一話時点では引っかかる部分がほぼなく、特に主人公の青空に好感が持てる点がとても良かったです。

前作からの成長も伝わって来ましたし、続きが気になる第一話でした。次週以降、本格的にボクシングに取り組む青空にも期待させていただきます。



テンマクキネマ


絵コンテの作成やロケハンなど、映画撮影に不可欠な部分がしっかり描写されており面白かったです。元の独創的すぎる絵コンテも好きですwロケハンの苦労が描かれていることにも惹き込まれました。

ロケハンしたことで新しい見せ場を思い付く元と、それを瞬時に脚本に書き足す天幕の描写も良かったです。ますます天幕の正体が気になりますね。回想シーンからすると、白河監督と組んでいた頃も髪色以外は今とほぼ変わらない外見だったようですね。

新たなロケハンに向かうラストにも惹き込まれました。やる気に満ちた姫希と、電車に酔った天幕が可愛かったですw


ただ、元から映画撮影への情熱があまり感じられなかった点は少し残念でした。天幕の脚本がきっかけですし仕方ないのかもしれませんが、もう少しやる気やモチベーションが欲しいんですよね。新しい場面をひらめくシーンが良かっただけに、余計に引っかかりました。

今後は天幕はもちろん、元についての掘り下げも見てみたいです。映画製作の過程が分かりやすい点などは良かったと思いますし、浜辺でのロケハンがどうなるのかにも期待させていただきます。



キルアオ


ノレンのキャラに良い意味で驚きました。一見不似合いにも思える進路ですが、志望動機に説得力があるのも良かったです。十三の雰囲気が叔父に似ているから家のことなどを打ち明けてしまった、という描写も印象的でした。

十三のラーメン好きという設定が活かされているのも良いですね。ノレンの叔父が作るラーメンが美味しそうで食べたくなりましたw

不審者の登場はやや唐突でしたが、十三が言っていた通りノレンが狙われること自体には納得出来たため引っかからずに読めました。ラストの「あのラーメンの~」という十三の台詞も良いですね。


少しだけ気になったのは、ノレンの意外な一面が判明するまでの流れがやや強引に思えたことです。偶然同じクラスに重要人物がいてたまたま入った店で遭遇する、というのはちょっと都合が良すぎるのでは、と感じてしまったんですよね。帰り道でノレンが店に行くところを目撃して、などのほうが自然だったのではと思います。

全体的には、男子を避ける理由、庶民的な夢を持つまでの経緯など、とにかくノレンの掘り下げが面白かったです。十三が彼女の危機を救えるのか、次週以降に期待させていただきます。




りは「同級生の女子のキャラが立って来たのは良い傾向ですねー。
ノレンはこのままヒロイン枠として描いても面白くなりそうです」 




レビューランキング

にほんブログ村 漫画ブログ 漫画感想へ
にほんブログ村

2023年5月6日土曜日

短期連載(打ち切り)作品解説 大東京鬼嫁伝

大東京鬼嫁伝 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

新品価格
¥502から
(2023/5/7 08:00時点)



短期連載(打ち切り)となった作品を取り上げ、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2023年18号にて最終回を迎えた大東京鬼嫁伝について書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。

それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。



1 設定を活かしきれていなかった


進太の家庭の事情や彼を狙うあやかし娘達など興味深い設定は多かったのですが、それを話に活かせていなかったなというのが正直なところです。最終回でも特に触れられなかったので、疑問の残るラストになってしまったんですよね。

花札家については現在の構成になるまでの流れがかなり複雑なはずなのに、ほとんど説明がなく進太達に感情移入しづらかったです。同時に家族の絆なども分かりにくくなってしまったんですよね。後で描写する予定だったのかもしれませんが、重要な設定なら少しずつ読者に伝えていったたほうが良かったと思います。

あやかし娘については、進太を狙うあやかし娘が現れる→一話から数話で退場という展開が特に中盤以降増えて行き、読んでいて飽きてしまいました。はっきり言って先の流れも簡単に予想出来ますし、新鮮味がなくなってしまうんですよね。

また、退散したあやかし娘のその後がほぼ描かれなかったのも残念なところです。デザインなどは好きなキャラが多かったのですが、キャラを把握する前に出番がなくなってしまうという流ればかりで、愛着などを持ちづらかったんですよね。

個人的には、物語を動かすきっかけになったかばねが登場しなくなったことが特に引っかかりました。メイン回の展開的に花札家に同居しているはずなのに、会話にすら全く出て来なくなるというのは正直かなり気になりました。


無闇にキャラを増やさずに、必要な設定を描写することが重要だったのではないでしょうか。面白くなりそうな設定やキャラは多かったのに、それを活かした盛り上がりを作れていなかったというのはやはり問題だと思います。



2 ラブコメ要素を感じにくかった


血の繋がらない姉や妹と暮らす男子高校生のもとに、幼い頃結婚の約束をした少女がやって来る、というハーレムものにありそうな冒頭だったのに、最後までラブコメ要素をほとんど感じられなかったというのが正直なところです。タイトルの嫁というのも愛火が自称していることがほとんどで、ときめくようなシーンもはっきり言ってかなり少なかったんですよね。

そもそも、進太の性格が正直ラブコメ向きではなかった気がします。恋愛に興味がない、という設定だけなら良いのですが、愛火やあやかし娘にアプローチをかけられても動じるようなことがなく、はっきり言って見ていて面白くなかったんですよね。むしろ女性に耐性がなくてすぐに動揺してしまう、くらいの描写のほうが読んでいてドキドキ出来たのではと思います。

逆に、女性達に狙われていることを逆手にとってハーレムを築いてやる、と豪語するくらいのキャラでも面白くなったかもしれません。女子に積極的にアピールするような性格ならあやかし娘達の魅力も充分に描けますし、ラブコメとしても面白くなりそうですよね。

また、途中で退魔要素をメインにするのかなとも思ったのですが、結局そちらも活かせておらず残念でした。厳しいようですがラブコメ部分も含めて色々な要素が中途半端だったため、結果的に話が分かりにくくなってしまったんですよね。

進太と愛火との関係が最終回までほぼ進展しなかったのも個人的には残念でした。もちろん家族や仲間としての絆は深まったことは伝わりましたが、進太が愛火を恋愛対象として意識するような場面がなく、やはりラブコメとしては問題だったのではと考えてしまいます。

愛火がヒロインとしてかなり幼かったのも、盛り上がりに欠けた原因かもしれませんね。外見年齢をもっと上げても良かったのでは、と思います。


ラブコメとして良い意味でベタな出だしだったのに、はっきり言って期待を裏切られてしまったなと感じたんですよね。特に進太と愛火の設定は見直しが必要だった気がします。



3 細かい部分の矛盾が多かった


ひとつひとつは小さなミスでしたが、容認出来ないレベルで多かったので問題点として挙げさせていただきます。描写や展開の違和感が目立っており、読んでいて話に集中出来なかったんですよね。

パッと思い出せるだけでも、鍋の〆を作る予定なのに姉と妹が別室に移動する、ラーメンを食べに行くという展開なのに説明もなく入浴シーンが挟まれる、右の指三本という条件が翌週にはどちらかの片手という設定に変わっている、など複数のミスが浮かびます。細部の矛盾は見直しすれば防げるはずなので、正直構想を練っていないのではと思えてしまったんですよね。

特に後半に入ってからはかなりミスが増えていた印象です。打ち切りが決まっていたのかもしれませんが、最後まで手を抜かずに描いて欲しかったなと感じます。

もちろん矛盾が気にならないくらい漫画が面白ければ良かったのですが、前述の通りストーリー面の粗も目立ってしまっていたので余計に引っかかってしまったんですよね。小さなミスで評価を下げる結果になったのはもったいなかったなと思います。


細部のミスが多いというのは短命に終わった漫画にはよく見られることなのですが、個人的にはやはり残念に感じます。キャラクターやストーリーを生み出した以上はしっかりと世界観を把握し、読者が集中出来るように物語を描いて欲しいです。



振り返ってみると、キャラや設定には光る部分も見られるのにそれを活かしきれなかったことが一番の敗因だったのではと思います。個別項目にはしませんでしたが、右手と左手が頻繁に入れ替わる、分かりにくいコマ割りが多いなど作画面のミスが頻発している点も気になりました。

また、キャラクターのデザインは全体的に好きなのですが、愛火の角部分は正直最後まであまり可愛いと思えなかったんですよね。個性を出すためだったのかもしれませんがナメクジのようにも感じてしまいますし、魅力には繋がっていなかった気がします。

出だしや設定がラブコメとしてベタだった点はむしろプラスだと思いますし、無理にキャラを増やさずにドタバタしつつ進太と愛火が惹かれ合う展開を丁寧に描けば違う結果になった気がします。読み切りや第一話はとても良かったですしキャラクターのデザインも好きなので、また仲間先生の作品を読んでみたいです。




りは「読み切りや第一話ではラブコメに期待していたので、
それがほとんど活かされなかったのはとても残念でした。
良い意味でベタな部分はしっかり描いたほうがプラスになると思いますー」



レビューランキング

にほんブログ村 漫画ブログ 漫画感想へ
にほんブログ村