2024年4月20日土曜日

週刊少年ジャンプ2024年20号感想 2/2



MM-ミリメートル-(読み切り)


オリンピックに出場する卓球選手、聡と、同じく有名な選手だった父(平)の関係がしっかり描かれており、面白かったです。幼少期の聡が「卓球に華やかさがない」と呟く描写などもリアルでした。それを笑い飛ばす平の豪快さも好きです。

ふたりのやりとりの後で実際の試合のピリピリした空気感を描く、という構成も上手いですね。特に平の姿が侍に見えるシーンが良かったです。

終盤、聡が過去の平と同じく海外の強敵と対峙する場面にも惹き込まれました。ちなみに平のその後が気になっていたので、しっかり描写されていた点も好印象でした。


ただ、回想がメインで正直ストーリーに起伏が足りないかなとも感じました。また「偉大な選手だった父の血を受け継いだ息子」という設定はスポーツ漫画ではかなり定番なので、この部分もオリジナリティがなかった気がします。ページ数が短いので難しいのでしょうが、何かひとつ斬新な描写を追加出来ればもっと印象に残ったのではと思います。

片岡先生は何度か読み切りを載せていらっしゃいますが、はっきり言ってオリジナリティという部分では以前の読み切りのほうが高かった気がします。個人的には「No one knows(主人公がクラスメートの少し不思議な女子と交流するストーリー。SF要素も強い)」はもちろん「見エナイ娘(様々な壁にぶつかった主人公の少年が田舎で出会った未知の存在と交流し、少しだけ救われるストーリー)」が好きでした。

全体的には、本作も物語としてもまとまっていましたし面白かったです。過去を掘り下げれば連載にも繋がりそうな作品なので、是非また本誌で片岡先生の作品を読んでみたいです。



Dear Anemone


物語の本筋に関わる情報が色々と判明するシリアスな回でしたが、冒頭の灰狼と愛墨のやりとりには笑ってしまいましたwポジティブすぎる愛墨はもちろん、勘違いを冷静に利用する灰狼も面白かったです。「扱いやすい」という台詞には頷いてしまいましたw

その後、ロベリアが博士へと問いかけるモノローグも印象的でした。以前このブログにも書いたように正直ロベリアのほうが優秀なのではと思っていたのですが、この辺りは今後明らかになりそうですね。

アネモネを研究所から連れ出した男の描写にも惹き込まれました。やはり善生は本作の重要なキャラになりそうですね。

適合についての説明も印象的でした。ラストのアネモネの台詞も良かったです。


今回は様々な設定が描かれており面白かったのですが、掲載順が不安ですね。序盤に矛盾が多かったこと、画力は高いのに絵的に見づらいシーンが多かったことなどが原因な気がします。今週も萼がアネモネとロベリアの間に割って入るシーンがかなり分かりにくかったです。

また、特徴的なデザインのメンバーが少なくキャラに愛着が湧かないのも痛いのではと感じました。善生や竜一のような人間キャラがもっと欲しかったところです。

ただ、今回でストーリーが大きく動いたので期待もさせていただきます。まずはロベリアとの戦いを見守りたいです。



累々戦記


覚醒した蒼葉の詳細が印象的でしたし、救いのある描写なのが良かったです。全身からオーラを発した状態でいつもの笑顔を浮かべている様子にホッとしました。

ようやく禅と本気で戦えた、というシーンにも惹き込まれました。兄弟が語り合う演出も切ないですが上手いですね。

遂に決着、というコマはとてもかっこ良かったです。戦いは静かに終わりましたが、蒼葉のその後がとても気になりました。


エピソードとしては結構淡々と進んでいた印象ですが、キャラクターがしっかり掘り下げられており面白かったです。ただ、掲載順と展開的に終了が近い気はしますね。

個人的に蒼葉と禅の因縁などには惹き込まれたので、もっと早くに今の展開を描けていれば違う結果に繋がったのではと思います。序盤の学校での事件解決は本筋が大きく動くわけでもなく、振り返ってみれば正直ほとんど意味のないエピソードになってしまっているんですよね。以前このブログでも書きましたが、専門用語などが多すぎてとっつきにくいのも残念でした。

ただ、先述の通り今週は最終ページが特に印象的で、読んでいてハラハラドキドキしました。バトルも終わりましたし漫画としては綺麗に締めくくられそうなので、次週もしっかり見守らせていただきます。



ツーオンアイス(最終回)


終わってしまいましたね。内容と話数から見て打ち切りと判断して良いでしょう。

ですが、個人的には最初から最後まで楽しいと感じられる作品でした。最終回もそれぞれのペアの思いと、円陣のシーンが印象的で良かったです。

また、天雪と優雨子についてしっかり描かれていた点も印象的でした。彼女の隠れた才能にとても惹き込まれました。全体的な流れはシリアスですが、天雪の「貴方の自我消えてますね」という台詞にはちょっと笑ってしまいましたw

だからこそ、直後のやりとりが恐ろしかったです。「人と人になるまで」という天雪のモノローグが痛々しいですが、グッと来ました。

隼馬と綺更が氷上に向かうラストも良かったです。「あまねく光となって~」というモノローグが印象的でした。ちなみに亮成の現在も気になりますね。


敗因としては、やはり絵についてがまず挙げられるかと思います。画力は決して低くないと思いますが、正直フィギュアの動きが分かりにくいシーンは多かったんですよね。初の週刊連載でスケジュールが厳しかったことも理由のひとつでは、と考えております。

ペアスケートという題材もジャンプの読者層にそこまで馴染みがないので難しかった気がします。知名度の高くない競技を扱ったヒット作というとヒカルの碁やアイシールド21などが浮かびますが、どちらも男子同士のバディだったり高校の部活動が舞台だったりと、読者が入り込みやすいように工夫されているんですよね。ツーオンアイスは男女のバディものですし、とっつきやすい部分が少なかった印象です。

そして、天雪や優雨子と比較すると主人公ペアの隼馬、綺更のインパクトが足りなかったことも痛かったのではと感じます。トラウマが描かれた綺更はともかく、隼馬はひたすら真っ直ぐで悪く言えば面白みがないんですよね。ほんの少し暗い要素を追加したほうが面白かったのでは、と思います。

ですが特に天雪のキャラは立っていましたし、心情描写が丁寧な点なども個人的には好きでした。また、本作は物足りなさは感じるもののストーリーは綺麗にまとまっていると思います。そのため今回は個別記事の作成は予定しておりません。

読み切りのときから逸茂先生のことは応援しているので、今後もしっかり見守らせていただきます。逸茂先生、お疲れ様でした。ジャンプで難しいようなら移籍しても良いかと思います。またキャラクター同士の丁寧な交流を見せていただけると嬉しいです。




りは「スポーツもの以外に挑戦するのも良いかもしれませんねー。
逸茂先生、お疲れ様でした」





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