一ノ瀬家の大罪
翼が本来の自分を取り戻したかのうようなラストシーンが印象的でした。颯太の「お前って昔から~」という台詞にもとても納得しました。
綺麗ごとばかりだった疑似家族が自分達の本音をぶつけ合う展開も印象的でした。それぞれの場所に帰ったことでバラバラになる、という流れも切ないですが良かったです。颯太の「何やってたんだろうな」という台詞にも惹き込まれました。
その後の翼と颯太の会話も良かったです。「家の状況が最悪でも、何が出来るか分からなくても、俺達が一ノ瀬家なんだ」という翼の台詞がとても印象的でした。
ただ、引っかかる部分もかなり多かったというのが正直なところです。まず、文乃の心情がはっきり言って全く理解出来ませんでした。
家庭環境に何も悩みがないことに引け目を感じる、という描写にリアリティがないんですよね。「親しい友人が問題の多い家庭に育っており、その心情を理解したかった」などの設定ならば納得出来たと思うのですが、文乃の場合はっきり言って勝手に劣等感を抱えているだけなので意味が分かりませんでした。
そして、けんたについては今までの過去のシーンは何だったの?と思ってしまいました。暴力が原因で母に見捨てられたなら同情の余地はあるかなと考えていたのですが、全く違いましたよね。ただ単に生まれつきけんたの性格が悪いだけでは、としか思えませんでした。
また、母親の事情が明らかになったことで学校側の違和感が増してしまっているのも問題だと思います。周囲を傷付けてばかりいるけんたのことを持ち上げて、やむを得ない理由で家を離れた母親を非難するというのはどう考えてもおかしいですよね。
出来るだけ作品の魅力について書きたいと思っているのですが、今週は疑問符の浮かぶ展開ばかりだったというのが正直なところです。結局翔や美奈子も登場しませんでしたし、このまま話を続けても改善されないのでは、と感じてしまいました。キャラクターの過去や本筋についてはしっかり考えて欲しいです。
アイスヘッドギル
グレイティストが率いる団員達がそれぞれ印象的でした。特に常識的な言動のシプがデザインも含めて好みです。
また、いつも陽気なグレイティストの過去にも惹き込まれました。実はギルと同じ境遇だったんですね。
ミョイネがスリズに下した命令についても気になりますね。さすがにそのまま実行することはないと思いますが、どう決断するのか興味深いです。
ラストのリッチの表情も印象的でした。ギルの乳母の行方も含めて惹き込まれる展開でした。
ただ、一気に新しい作品用語が描かれて理解が難しくなってしまった点は残念に感じました。特に最後のコマでは初登場の騎士団や異名の情報が詰め込まれており、とても読みにくいなという印象になってしまったんですよね。作品ならではの用語の描写にはもっと工夫が必要だと思います。
また、本筋とはあまり関係ないものの、グレイティストが唐突にグレイと呼ばれるシーンにも引っかかりました。あだ名としても正直違和感がありますし、唐突な気がしたんですよね。本人に「グレイって呼んで良いよ」と言わせるなど、納得出来るように描いて欲しかったです。
トロルの森を調査する様子がスピーディーな点は良かったのですが、やはり引っかかる部分も多かったというのが正直なところです。強敵との戦いでの巻き返しに期待させていただきます。
ドリトライ
青空と夕日の闘い、夕日と夕華の回想がとても印象的でした。決着の後の夕日の「父親を殴るやつがあるか」という泣き笑いの表情にもグッと来ました。汽車内の夕華の「あんたの頭が~」という台詞も良かったです。
星の元に青空達が駆け付ける、という流れも印象的でした。青空達が大人になるそ展開には少し驚きましたが、それぞれの成長が感じられて惹き込まれました。
ラストの大人びた青空の顔も良かったです。「心の強さで」という台詞がとても印象的でした。
ひとつ残念だったのは、冒頭での夕日の拳がやはり非現実的すぎたところです。その後の展開にほど良いリアリティがあったので、余計引っかかってしまったんですよね。
ただベタな展開が多かったものの、全体的には問題に感じる部分はあまりなく、面白かったです。父との関係も決着しましたし、一気に時間が流れたので終わりが近いのかなとは思いますが、青空達の未来をしっかり見守らせていただきます。
テンマクキネマ(最終回)
終わってしまいましたね。終盤がかなり駆け足でしたし、話数から見て打ち切りと判断して良いでしょう。
ただ、ベタな展開が多かったものの惹き込まれたことも事実です。特に渚の上映が終わった後の元と天幕の会話は印象的でした。その後のスタッフロールの描写もとても良かったです。
姫希の母が自分なりに姫希に歩み寄る様子も良かったです。姫希が天幕の存在を少し感じ取るシーンも印象的でした。
ラストの写真もグッと来ました。元と姫希の将来が語られるラストのナレーションもとても良かったです。
敗因としては、やはりストーリーの進みが遅すぎたことがひとつ挙げられるかと思います。物語も撮影に関する知識を語る場面が多く理屈っぽく感じてしまいましたし、一本の動画が出来るまでに半年以上かかるというのは問題だった気がするんですよね。早めに短い作品を描いたほうが読者の満足感も増したと思います。
また、絶賛されている渚の内容が伝わって来なかったことも良くなかったのではと感じます。これについては最終回でもほぼ分からないままだったので、やはり問題ではと思ってしまいました。
そして、元と天幕の絆が感じられなかったことも敗因だった気がします。元が天幕にとって都合の良い存在になっているように見えてしまったんですよね。突然とり憑かれたという設定なので序盤は仕方ないかと思うのですが、お互いに良い意味で影響しあう、天幕のおかげで元がプロになる理由を見付ける、などの描写が欲しかったところです。
ただ、好感の持てるキャラは多かったですし、少年達が試行錯誤しつつひとつの作品を作り上げるという展開自体は熱くて好きでした。話のスピード感にさえ気を付ければもっと良い結果になったのではと思います。
また、渚は無事に完成しましたし、物語としてはまとまっていると思うので、今回は個別記事の作成は予定しておりません。附田先生、佐伯先生、お疲れ様でした。キャラクターの魅力を存分に描いた次回作に期待させていただきます。
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