2023年1月10日火曜日

短期連載(打ち切り)作品解説 SWOT

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短期連載(打ち切り)となった作品について注目、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2010年51号にて最終回を迎えたSWOTについて書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。

それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。



1 画力がネックだった


杉田先生の初連載作品だった斬と比較すれば画力自体もかなり上がり絵も見やすくなっていたと感じるのですが、分かりにくい部分も多かったというのが正直なところです。特にコマ割りなどは読みづらかったです。

バトルやアクションが主体だと高い画力が求められる傾向が強いと思いますが、それに応えられていなかったんですよね。少なくともキャラクターの動きを読者に伝えられないとヒットは難しかったのではと感じます。

そして、デザインの個性が薄く、キャラを覚えにくいのも残念でした。主人公の学崎は髪や眼鏡も特徴的で良かったのですが、他の生徒達は結構似通ってしまっていたんですよね。女子も表情などはとても可愛かったのですが、やはり描き分けには問題があった気がします。


斬からの成長自体は感じたものの、まだ画力が不足していたのだと思います。戦闘シーンなどが多い作品では、絵でも魅せられないとなかなか人気に繋がらないんですよね。ジャンルが違えばまた別の結果になっていたかもしれないので、惜しいとも感じます。



2 能力(カクゴ)の設定が分かりにくかった


学崎を含むバトルに参加するメインキャラ達は、自分の能力に覚醒した場合カクゴや裏カクゴといった奥義のようなものを使えるようになるのですが、この設定が分かりにくかったというのが正直なところです。初登場時の説明を見てもイメージが湧きづらく、結局最終回まで疑問が残ってしまいました。そもそもカクゴという要素自体、描写が唐突だったんですよね。

特に、後半で裏カクゴが描かれた際は厳しいようですが戸惑いました。正直カクゴとの差が曖昧でしたし、カクゴについても把握出来ていないのに新たな設定が加えられ、読みにくくなってしまったとも感じます。

大切な能力については丁寧に描写したほうが良いと思うんですよね。解説が多くて一見とっつきにくく感じても、能力の情報が最初に明かされていれば、その後のストーリーは逆に伝わりやすくなるのではと思います。また先述の通り画力もネックになっており、絵的な迫力を感じづらかったのも残念なところです。


カクゴという設定自体は面白そうだったのですが、完全には理解出来ないまま終わってしまったという印象です。また、そもそもHUNTER×HUNTERなど他のファンタジー、バトル漫画で定番の設定なので、目新しさがなかったとも思います。

もう一段階上の奥義がある、という展開も熱かったのですが、元々のカクゴについての描写が分かりにくく、盛り上がりに欠けてしまったかなと思います。絵での表現にも工夫が欲しかったです。



3 不良、ヤンキー漫画というジャンルを活かせていなかった


荒れた高校を舞台にした不良能力バトル、といったジャンルなのですが、そもそもかなり扱いが難しいテーマだったかなと思います。言葉の内容が乱暴なのもネックになっていた気がするんですよね。

連載当初でもヤンキーものは正直流行のジャンルではなかったんですよね。不良が多数登場するということで保護者世代が積極的に子どもに勧めるような内容でもないですし、幅広い読者の獲得は難しかったのではと思います。

ヤンキーや不良をテーマにするなら、むしろ仲間との絆のような人間ドラマをメインに描いたほうがヒットに繋がりやすかった気がします。実際はファンタジー的な能力やそれを使ったバトルが主に描写されていたので、ヤンキー漫画としては魅力を感じにくくなってしまった気がするんですよね。

また、せっかく面白い設定があるのにほぼ学校内でのバトルに終始してしまっており、小さくまとまっているという印象も受けてしまいました。ファンタジー要素を描いたヤンキー漫画というと東京リベンジャーズなどは代表的な人気作だと思いますが、こちらは主人公(タケミチ)の目標が非常にドラマチックですし、初期段階で学外のキャラが複数登場し、友情もしっかり描かれている点などが上手かったんですよね。SWOTもジャンルやファンタジー的な設定をもっと活かして欲しかったです。


当時のジャンプでは珍しいジャンルで成功を狙う、という発想は良かったのですが、結局ヤンキーや不良という設定を活かせていなかったなというのが正直なところです。ファンタジー要素をもっと上手くプラス出来れば違う結果に繋がった気がするんですよね。



まず画力が気になってしまいましたし、世界観や能力の設定で巻き返すことも出来ていなかったなというのが正直なところです。個人的にキャラクター達は好きでしたが、ヒットに繋がるほどの人気は出ていなかっただろうなとも思います。

ヤンキー、不良漫画という万人向けではないジャンルですし、やはりもっと工夫が必要だったのではと感じます。ファンタジー的な能力の設定は面白くなりそうだったので、魅せ方を変えるだけでも読者の反応は良い意味で違ったと思うんですよね。

ただ斬からはかなり成長を感じましたし、特に学崎とヒロインのねねのやりとりが好きでした。女子の表情もとても可愛かったですし、ファンタジーやラブコメ要素の強いヤンキー漫画などならもっと面白くなったかもなと考えております。杉田先生は現在ジャンプ系列の雑誌で頑張っているので、今後も応援したいです。



りは「惜しい点が多かったのは確かですが、
成長を実感出来たのは良かったと思います。
ジャンプ本誌でも杉田先生の作品を見たいです!」



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