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短期連載(打ち切り)となった作品について注目、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2019年24号にて最終回を迎えた獄丁ヒグマについて書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。
それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。
1 主人公(ヒグマ)の考え方がよく分からなかった
地獄から脱獄した亡者を送り返す、というのがヒグマの役目なのですが、自分の使命について過剰に葛藤するシーンが多く共感出来なかったというのが正直なところです。相手は悪人なので、きっちり罪を裁いたほうが主人公らしかったのではと思うんですよね。
読者としては同情出来ない悪人が多かったので、余計にヒグマが躊躇う理由が分からなかったんですよね。また、亡者の描き方がブレてしまっているように感じたのも残念でした。この点については次の項目で詳しく解説いたします。
他の部分に関しても、教師に遅刻を咎められても反省しない、辛い戦闘が待ち受けていると知っているはずなのに友人と談笑する、など好感の持てる描写が少なかった印象です。普段は目立たなくてちょっとヘラヘラしている、というキャラなのは分かるのですが、内面を理解出来ず厳しいようですが不気味に感じてしまいました。
正直、考えを理解しにくいキャラというのは主人公としては扱いづらいと思います。日常生活の描写については解釈が別れるかもしれませんが、やはり悪人には容赦をしない、という性格のほうが人気に繋がりやすかったのではと感じます。
2 囚人の描き方や物語の方向性が定まっていなかった
先ほど少し触れたように、亡者の人物像などが理解しづらく物語に入り込みにくかったというのが正直なところです。メインキャラだけではなく、敵キャラの魅力も大切だと思うんですよね。
特に序盤のストーリーの流れが直後にいきなり変わったように思えて、厳しいようですが戸惑ってしまいました。初期は数話で解決するエピソードが続いており亡者が引き起こす事件もそこまで深刻なものではなかったのに、突然「母親を操り子どもを殺させる」という罪人(泥梨ノ狐鉄)が登場するんですよね。絵柄の可愛さも相まってあまり重い事件は起きないのかなと感じていたので、はっきり言って恐ろしすぎて受け入れられませんでした。
また、泥梨ノ狐鉄についてはそもそも設定もよく分からないまま終わってしまったという印象です。初めは少年として描かれていたのに途中で正体が「子を愛せなかった母」だと描写され、今までの姿は何だったのかという説明もないままでした。子どもに愛情を注げなかったことについても、ただ単に泥梨ノ狐鉄の内面の問題だったのか、自分は望んでいないのに周囲に出産を強いられたなど同情出来る理由なのか、全く描かれていなかったんですよね。
物語の流れが突然変わり、また要因となった亡者についても掘り下げられておらず、この辺りで離れた読者は多かったのではと思います。第一話も「脱獄した悪人が引き起こしたちょっとした問題をヒグマが解決する」という展開だったので、急な路線変更は失敗だったのではというのが正直なところです。
3 デザインの魅力を感じにくかった
ヒグマのデザインは使命を果たす際の衣装も含めてとても良かったのですが、それ以外のキャラの見せ場の描写が正直魅力に欠けていたという印象です。はっきり言って予想を上回るデザインなどが出てこなかったんですよね。
まず、アヤハが分霊者(閻魔に力を与えられたヒグマの助手や部下のような存在)として目覚めるシーンは服装が地味だった上、そもそも変化も分かりにくかったと感じました。メインの女子キャラが覚醒する、という上手く描ければ盛り上がるシーンだったはずなのに「衣装もよく見えないし変化も地味だな」としか思えなかったのは残念なところです。
そして、ヒグマの傍にいてずっと顔を隠していた分霊者の正体もほぼ同時に明らかになるのですが、正直かなり期待外れでした。ストーリーの途中で容姿が描かれるキャラは、やはりベタでも美形のほうが盛り上がるんですよね。ジャンプだと呪術廻戦の五条が目隠しを外すシーンなどは非常に印象的でしたよね。
実はヒグマの身近にいた人物だった、という展開自体はアリだと思うのですが、そもそも分霊者としての姿しか描写されていなかったので驚きに繋がらなかったんですよね。ヒグマの日常生活でも傍にいた、としっかり描かれていれば少し違ったのでは、と考えております。
ちなみに終盤、ヒグマの親戚が彼にそっくりだと言及されるのですが、これも疑問に感じてしまいました。目のデザインは同じですが、全体的な容姿は似ているとは言いがたい気がしたんですよね。
画力自体は決して低くないと思いますし絵柄も可愛くて好きなのですが、デザインのセンスをあまり感じられなかったなというのが正直なところです。やはりキャラや衣装が魅力的なほうが話にも惹き込まれると思うんですよね。
ストーリーが展開するにつれてヒグマの考え方や物語の流れへの違和感が増して行き、段々作品に入り込めなくなってしまったんですよね。デザインや見せ場に惹かれることが少なかったのも残念なところです。
基本的に「亡者が起こす小さなトラブルをヒグマが解決して行く」という展開がメインで良かったのではと思います。ヒグマののんびりとした性格にもこちらのほうが合っている気がするんですよね。また、敵への裁きを躊躇う、キャラの素顔が魅力に欠けるなど、悪い意味でベタを外してしまっているシーンが多いのも正直問題だったと思います。
ただ、第一話はとても面白かったですし、普段は目立たないヒグマが獄卒人としての役目を全うする際はかっこ良く変身する、という設定も好きでした。帆上先生は今も系列の雑誌で頑張っていますし、ストーリーの方向性やデザインを練った上で活躍されることを願っています。
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