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短期連載(打ち切り)となった作品について注目、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2016年10号にて最終回を迎えたバディストライクについて書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。
それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。
1 メインキャラが地味だった
主役ふたり(荒狼、安導)を含めて、メインキャラ達が印象に残りにくかったというのが正直なところです。これは前作クロス・マネジでも感じた問題だったんですよね。
まず主人公である荒狼と安導のデザインがいまいちだったのでは、と思います。髪型が黒髪のショートで被ってしまっているのが単純に問題だった気がするんですよね。
リアル路線のスポーツものを描くためにあえて目立たない髪にしたのかもしれませんが、漫画としてはある程度のデフォルメ、記号化も必要だったのではと感じます。たとえばNARUTOのナルトとサスケ、僕のヒーローアカデミアのデクと爆豪、黒子のバスケの黒子と火神など、ヒット作の主役とライバル、主役と準主役は髪型や髪色ですぐに区別出来るようなデザインになっていますよね。
漫画は基本的に白黒ですし、読者に分かりやすいキャラクターデザインを心がけるなどの工夫も必要だったと思います。バディストライクの場合、やはりアップの横顔の際など荒狼と安導の区別が難しかったんですよね。
その他にも特に主役校(麒麟児高校)のキャラ達が総じて地味で、はっきり言って最後まで名前を覚えられないキャラもいました。また、試合のシーンがほぼないことも痛かった気がします。主人公達以外のキャラは選手としての強みなども描かれておらず、余計記憶に残りにくくなってしまったんですよね。
厳しいようですが、まず主役ふたりのデザインに魅力を感じにくかったと言わざるを得ません。髪だけではなく、顔立ちなどに特徴がなかったことも問題だったと思います。
いっそ荒狼と安導のどちらかは華やかな美男子にするくらいでちょうど良かったかもしれませんね。試合での選手としての描写も必要だったのではと感じますし、主人公校のメンバーにももう少しインパクトが欲しかったところです。
2 主役達の関係や過去の描き方のバランスが悪かった
主人公のひとりである安導は野球一直線で図太い性格、といったキャラだったのですが、終盤で突然かなり重い過去が描かれ困惑してしまったというのが正直なところです。読み返すと伏線らしき描写ももちろん確認出来るのですが、それでもかなり急だと思ってしまいました。明るく見えていたキャラが実は心に傷を抱えていた、という設定自体はむしろ好きなのですが、上手く描かないと作品やキャラのミスマッチが気になってしまう展開だとも思います。
ちなみにこの回想シーンで荒狼との関係が改めて掘り下げられるのですが、はっきり言ってとても湿っぽく感じてしまったんですよね。シリアスな少女漫画で男女が出会う場面などなら納得出来たのですが、少年誌の主役ふたりの関係性としては相応しくないのではと思ってしまいました。
こう感じた理由のひとつに、正直元々ふたりの関係性がしっかり描かれていなかったことが挙げられるかと思います。熱い友情や絆が確立していれば意外性の演出として面白かったかもしれませんが、そもそも試合のシーンもほぼなくふたりのコンビネーションをあまり感じられなかったので、過去を掘り下げられても唐突だとしか思えなかったんですよね。
回想については終盤の展開なので短命に終わった理由とは違う気もするのですが、 荒狼と安導の関係性が伝わらなかった、というのはやはり問題だと思います。タイトルにもバディ、と入っている以上、ふたりの絆は大切に描写して欲しかったところです。
3 特に最終回が雑すぎた
こちらは完全に連載終了が決まってからの展開だとは思うのですが、本作の問題点を考える上では欠かせないので挙げさせていただきます。厳しいようですが、最終回は真剣に描いているのか疑ってしまうような展開で読んでいて非常に戸惑いました。直前まで存在すら全く描写されていなかったキャラの紹介ばかりだった上、超能力にしか見えない必殺技を駆使するキャラが多く、リアル路線だったそれまでが正直無駄になってしまうようなラストだったんですよね。
過去に出て来たキャラがほぼ全員再登場する、というストーリー自体は早期に終了した作品でもよく描かれますが、最終回が新キャラばかりというのはやはり単純に引っかかってしまいました。これは過去に印象的な対戦校などを出せなかったことが問題だったとも言えますね。
また、新キャラのインパクトが強調されていたため、主役ふたりの描写がほとんどなかったことも気になりました。最終回だからこそ、しっかりとふたりのバディを見届けたかったというのが正直なところです。
最終回の雰囲気がガラッと変わってしまったことは、もちろん短命に終わった直接の原因ではないと思います。ただ厳しいようですが、過去の展開を台無しにするような姿勢で描いていては、もう少し連載が続いていてもどの道破綻していただろうなと考えてしまうんですよね。早期に終了する場合でも、最後まで丁寧に描写すれば印象は良くなったはずです。
正直主人公達に惹かれませんでしたし、その後も盛り上がることなく終わってしまったなという印象です。また、キャラが地味、試合に入るまでが長すぎるというのはクロス・マネジでも感じたことなので、改善が見られず残念でした。積み上げて来た展開を最終回で台無しにしてしまったことも問題だったと思います。
ダブル主人公の作品を描く場合、やはりどちらのキャラも立たせないと成功しないと思うんですよね。試合の描写はもちろん、デザイン面での工夫も欲しかったところです。
クロス・マネジの頃から絵柄は好きですし、地味な主人公達とはいえ、バッテリーが絆を深めて行く物語だと示されていた第一話は好きでした。強みを活かして、KAITO先生には今後も頑張って欲しいです。
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