新品価格 |
短期連載(打ち切り)となった作品を取り上げ、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2015年52号にて最終回を迎えたベストブルーについて書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。
それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。
1 既存作品の影響を強く受けているように見えてしまった
漫画ではないのですが、本作連載の少し前に水泳アニメのFree!がヒットしており、その影響を相当感じたというのが正直なところです。特にキャラの泳ぎを動物に喩える場面はかなりFree!に似てしまっていたと思います。
ただ、本当にFree!からインスピレーションを受けたのだとしても、流行りに乗ること自体は悪くないでしょう。ですが個性がない場合、厳しいようですが二番煎じという印象になってしまうんですよね。ベストブルーは見せ場が被ってしまっていたので、余計に痛かったと感じます。
また、Free!のクオリティが高かったため、比較されると厳しかっただろうなとも思います。声も色も動きも楽しめるという点ではアニメのほうが有利ですし、水泳部の少年達の青春物でヒットを狙うなら、むしろFree!とは別の部分をクローズアップしたほうが良かったのではと感じます。これならあくまでも水泳というジャンルが共通しているだけなので、過度に比べられることもなかったと思うんですよね。次の項目でも触れますが、特に泳ぎの表現には工夫が欲しかったところです。
世間の関心が向いている水泳というジャンルでヒットを目指す、という狙い自体は分かったのですが、既存の人気作と描写が似ていることが気になって話に入り込めない部分がありました。泳ぎの表現の比喩を動物以外にするだけでも印象は変わったと思うので、惜しいところですね。
2 泳ぎのすごさが伝わりにくかった
選手達やコーチは優秀で個性的だったのに、その魅力に反して泳ぎのすごさを感じにくかったというのが正直なところです。先ほどの項目でも触れましたが、ヒット作と表現が被っていたことも一因かと思います。
地上や空中のシーンと比較しても、水中での描写というのはとても難しいと思うんですよね。読者に伝えるためにも一番工夫が必要な部分だったと考えているのですが、そこに個性がなかったというのは正直問題だったと思います。
また、厳しいようですが、動きの描き方自体も迫力に欠けていたと感じます。平方先生の絵柄はとても好きですし画力も高いと思うのですが、スピード感などの描写は正直そこまで得意ではない気がするんですよね。独自の表現がなくとも圧倒的な絵で魅せる、というのもひとつの方法だと思いますが、それは出来ていなかったと感じてしまいます。
漫画で水中での競い合いを表現するというのはかなり大変でしょうし、そのハードルを越えられていなかったと思ってしまいます。やはり表現方法はもっと工夫して欲しかったです。
3 キャラクターを活かせていなかった
主人公を含むキャラ達の好感度自体は高かったのですが、正直容姿を覚えにくかったという印象が強いです。特徴がないということではなく、競泳中はキャップ、水着、ゴーグルが必須のため、描き分けのハードルが高かったのだろうなと思います。
これも水泳を題材にする際の難しい部分ですよね。やはり漫画で表現するのは大変なのだろうなと感じます。
また、個人的に平方先生の作品の女の子がとても好きなのですが、ヒロインがひとりしかおらず影が薄かったのも残念でした。もちろん競泳の描写に一番力を入れたほうが良かったとは思いますが、複数の女子マネージャーを登場させて華やかな画面を作る、などの演出があっても良かった気がします。試合の表現が上手かったとしても、同じ格好で表情も分かりにくい男子選手ばかりだと退屈に感じる読者も多いと思うんですよね。
読者がキャラクターの特徴を覚えられるようなシーンが少なく、厳しいようですが競泳中はその問題がより顕著だったと感じてしまいます。また、長所である可愛い女の子が目立たないのももったいなかったなと思います。
そもそも難しい題材を選んだ上、全体的に読者に伝える工夫が出来ていなかったというのが正直なところです。既存の作品の影響を強く感じた上、それを超える魅力も表現できていなかったと思います。
ただ、キャラの設定や「水泳部が舞台の青春物」というテーマ自体は個人的には好きなんですよね。特に「主人公の青野は指導も受けずたったひとりで泳ぎ続けて来たけれど、センスと努力のおかげで自己流ながらタイムは悪くない」という第一話の展開にはとても惹き込まれました。この設定はFree!とも被らず非常に個性的ですし、泳ぎの表現に何か一工夫あればヒットも狙えたのではと考えております。
キャラの好感度が高く、主人公の設定が面白いのは大きな武器だと思います。もちろん元々の長所である女の子の魅力も活かして、平方先生には今より更に活躍して欲しいです。
レビューランキング
にほんブログ村
0 件のコメント:
コメントを投稿