2022年11月9日水曜日

週刊少年ジャンプ2022年49号感想



あかね噺


センターカラーの絵にまず惹き込まれました。その後のあかねとのやりとりでも同じ格好だったので、あくまでもからしは遊び人なんですねw

「やれる演目がない」というあかねのピンチを引きずらない展開も良かったです。確かに新しい噺を覚えることが唯一の対策ですからね。

あかねはレベルは高いけれどほとんど呪文や特技を身に付けていない勇者、という表現も分かりやすかったです。やはりあかねとからしのコンビ感は良いですね。要領や現場での経験値はからしのほうが上、技量や稽古歴ではあかねの勝ちという対比が面白くて好きです。

志ぐまとあかねの会話もグッと来ました。壁にぶち当たったからこそ他の場所で成長するべき、という描写が熱いですね。また「あの芸」という言葉も気になりました。最後、やる気に満ちた様子で歩いて行くあかねもとても良かったです。


まずはどの演目を覚えるのか、あかねは噺を誰から習うのか。静かですがとても次回が気になる話でした。今後の展開にも期待させていただきます。



あやしのあやし(読み切り)


実力のある陰陽師が妖怪の子ども達が集まる保育園に派遣される、という設定が面白かったです。ぶっきらぼうだけれど周りの人達を守ろうとする龍太郎と、個性豊かすぎる園児達のやりとりも印象的でした。笑いどころも多く、特に狩衣エプロンという発想が好きですw

話の中心となる女の子、まゆきも良かったです。天真爛漫で子どもらしいキャラなのですが、妖の力が理由で辛い思いをしたことがある、と明かされる場面では切なくなりました。過去のシーンに惹き込まれたからこそ、自分の手を受け入れてくれる龍太郎に懐いたという描写に納得出来ました。

そして中盤以降、事件解決のために動く龍太郎がとてもかっこ良かったです。特に「ちゃんと目の前のものを守りたい」という台詞が印象的でした。まゆきの描いた絵が出て来る場面もグッと来ました。

厳しいものの龍太郎のことも思いやってくれる倉橋や、いつも笑顔で既に強キャラ感の漂う兄など、主人公以外の陰陽師達も好印象でした。ラストシーンも良いですね。忙しくなるでしょうが、龍太郎には頑張って欲しいです。


画力はまだそこまで高くないかなと感じますが、キャラクターの立て方が上手く最後まで楽しませていただきました。

田中先生の以前の読み切り「青眼の大和(金髪碧眼の型破りな高校生が中心の剣道漫画)」も面白かったのですが、メインとなるキャラが分かりにくいなどの問題点も正直目立ってたんですよね。今回はかなり改善されていたかと思います。連載にもしやすそうな題材ですし、是非また読んでみたいです。



ギンカとリューナ


リューナとカルラのバトルに惹き込まれました。正直実力は圧倒的にカルラが上のはずですが、食らいついて行くリューナがかっこ良かったです。特に奥義を発動させるシーンが印象的でした。

「魔術師に不可能はない」という台詞にもグッと来ましたが、直後のギンカの乱入に良い意味で驚きました。それまでシリアスな流れだったので、ほろ酔いの魔法でリューナとカルラを止める場面のイメージ図に笑ってしまいましたw

ギンカとカルラの関係が少し明らかになる最後のシーンも印象的ですね。とりあえず、カルラの反応からしてギンちゃんが手荒く扱われていた可能性は低いでしょう。また、途中でカルラが回想していた相手はギンカなのかな、と考えました。


ただ、リューナとカルラのバトルはもう少しじっくり描いても良かったのでは、とも感じました。ラストでギンカがふたりの元へ走って行き次週で決着、くらいのペースでも充分スピーディーだったと思うんですよね。最終的にはカルラとギンカの再会シーンがギャグっぽくなっても構わないので、今回はまだカルラは強キャラでいて欲しかったとも感じます。

ですが、最後まで目が離せず一気に読めたことも事実です。次回以降、ギンカとカルラの過去などの掘り下げにも期待したいと思います。



大東京鬼嫁伝


たぬきよのキャラが面白かったです。体格が大きく勝負好きな女子なんですね。お世辞にも年相応とは言えない内面でしたが「愛火と進太の捕獲の依頼主は教えられない」と答えるなど、忍としての自覚を持っている様子なのも魅力的でした。

愛火との関係も良いですね。愛火が敵わないほどの相手なのかと思いきや、しつこすぎて棄権した、というオチだったことに笑いましたw

進太を本気で狙っている描写も面白かったです。みゃーこは愛火への対抗心という部分が強そうですし、神血目当てとはいえ真剣に進太を自分のものにしようとしている、というキャラの登場は盛り上がりますね。進太との子どもが欲しいと語るたぬきよに静かに怒る愛火に笑いましたw


少し気になったのは、たぬきよのいわゆる「デカ娘」という特徴がデフォルメの際などに消えてしまっているように見えたことです。チビキャラになったシーンでは、身長も筋肉量も愛火達とあまり変わらないんですよね。せっかくの個性なのですから徹底して描いて欲しかったです。

また、前回のみゃーこに引き続き、食事のときにたぬきよの行儀が良くないのも引っかかりました。正直、マナーをわきまえていないヒロインに好感は持ちにくいんですよね。漫画のキャラにも清潔感は大切だと思います。

全体的には新キャラの登場で楽しい回でしたし、たぬきよとのバトルの行方がどうなるのか惹き込まれるラストでした。今の状態ならさすがに愛火が有利だと思いますが、どんな決着になるのか期待させていただきます。



さっちゃんは石になった(読み切り)


「若い内に死ねば高価な宝石になれるため、長生きを望まない人も増えた世界」という設定がとても斬新だと感じました。主人公の奈津子が宝石化した友達、さっちゃんを手に入れる冒頭も印象的ですね。

さっちゃんの宝石を身に付けた奈津子の回想と、その後の人生にも惹き込まれました。特に、愛猫にも先立たれたのかなと感じる描写に切なくなりました。

ラストシーンもとても良かったです。みすぼらしい姿に反して、ふたりの友情はとても美しかったなという余韻が残りました。


絵柄に派手さはないものの画力も高く、話の内容にも合っていたと思います。ページ数は少ないですが物語は重厚で、短編映画を観たような満足感を味わえました。

奈津子とさっちゃんのエピソードは読み切りで完結していますが、同じ世界観で色々なキャラの歩みを描くといった挑戦も出来そうですね。非常にクオリティの高い作品だったので、この設定での物語をまた味わいたいです。




りは「ジャンプっぽさはないもののとても惹き込まれる作品でした。
まさに発想の勝利ですね!」




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