2022年11月25日金曜日

短期連載(打ち切り)作品解説 ビーストチルドレン 2/2



3 既存作品の影響を強く受けていた


主人公は桜、雄虎の息子でもあるライバルは雪兎という名前ですが、ほぼ確実にカードキャプターさくらが由来だと思われます。正直、少し引っかかったんですよね。

どちらかといえば泥臭い漫画のビーストチルドレンと美麗な絵柄の少女漫画のカードキャプターさくらという組み合わせがミスマッチですし、厳しいようですが名前とキャラが合っていない気もしました。桜はラグビー日本代表のエンブレムからの命名なのかもしれませんがカードキャプターさくらのほうが先に浮かんでしまいますし、やはり熱血タイプの主人公にはミスマッチな名前だと感じるんですよね。

その他にも、チームのキャプテンである鯨井の「テメーらは俺だ」というかけ声はハイキュー!の音駒高校に似ていると思ってしまったんですよね。リスペクトだったのだとしても、同じような場面で似た台詞を言わせる、というのは正直悪手だった気がします。ハイキュー!がコマ割りなどもとても印象的だっただけに、比較すると見劣りしてしまっていたというのが正直なところです。


好きな漫画の要素を取り入れるのはもちろん構わないのですが、作品に合っているかをしっかり判断するべきだったと思います。また、無闇に似たシーンを描くだけでは読者の印象は良くならないんですよね。


序盤でサクラの知識不足や他作品由来の命名が気になり、話が進むにつれて選手達の格好、ルール説明の少なさ、人気漫画からの強い影響など引っかかる点が増えて行き、最後まで話に乗り切れなかったというのが正直なところです。また、宿命のライバルとして描かれていたはずのユキトが、最終回で全く登場しないのも残念でした。

主人公の設定が作品と合っているかを初めに考えたほうが良かったと思います。また、寺坂先生はルール自体はよく分かっていたようなので、無理に漫画的にせずヘッドキャップは描写するべきだったのではとも感じます。ここを押さえれば、他作品からの影響はあまり気にならなかったと思うんですよね。

ただ、最後まで引っかかる部分は残っていたものの、後半は面白い展開も多かったんですよね。特に最終回は、一年生がスクラムを組み鯨井達上級生に立ち向かって行く場面、サクラと雄虎の会話シーンなどが熱くてとても好きでした。

ラグビーが大好きだけれど詳しくない主人公、彼の憧れの選手の息子で一流の選手のライバルといった設定も面白いですし、細かい部分をしっかり煮詰めれば人気作になった可能性もあったのではと考えております。泥臭い男子達の漫画は個人的に好きなので、また寺坂先生の作品を読んでみたいです。



りは「設定や描写の違和感が多いと面白い部分も活きないんですよねー。
キャラの熱さや絵柄は好きなので、
構想をしっかり練って欲しいです」



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