2 主人公達の個性が薄かった
上の項目でも少し触れましたが、主人公のツムギも準主人公のミサキも外見や内面のインパクトに欠けていた、というのが正直なところです。ツムギは強かな美少女、ミサキは堅物で常に敬語の少年、というだけでほぼ説明出来てしまうんですよね。最低でもどちらか一方は印象に残るように描写したほうが良かったと思います。
特にツムギの「黒髪ロングの美少女で、表面上は人当たりも良いが裏の面もある」という設定は斉木楠雄のΨ難の照橋を思い出してしまいました。もちろんあくまでもキャラが被っているだけなのですが、同誌で数年前まで連載していた漫画のヒロインに似ている、となると、余計に個性が薄いように感じてしまうんですよね。
逆に途中参戦したトウカは「クールポンコツ」というあまり他と被らない設定で、ネットなどでも好評でしたし個人的にも好きでした。外見に反して登場する度にドジを踏む、というのは単純に笑いに繋がりますし、とても印象的だったんですよね。
能力についても、トウカはいわゆる氷系の技を使うキャラだったので目立っていたように感じます。上の項目で触れたバトルがワンパターンという問題点も解消されていたんですよね。ツムギ達にもこれくらい強烈な個性があったり、あるいはトウカをもっと早くに参戦させてツムギの同性の相棒的なポジションにしたらまた結果は変わっていたのでは、と思います。
キャラクター同士のかけあいはクスッと笑える場面が多く好印象だったので、惜しかったな、と考えております。ツムギの異常なペロペロキャンディ愛なども個性的でしたが、こちらは上の項目でも触れたように少年達には響きにくかったんでしょうね。女性主人公という題材自体が難しいので、キャラクターの個性でもっと読者を惹きつけた方が良かったのでは、と思います。
3 画力が足りていなかった
特にキャラクターの顔がアップになると区別が難しいレベルで似ていて、場面転換などの場合シーンを把握しづらい箇所が正直ありました。目の描き方のパターンがほぼ同じなんですよね。ツムギとミサキでさえ似てしまっているのは問題だと感じました。
また、絵については目の周りにいつも線が入っていることも気になりました。特定のキャラの特徴というわけではなくほぼ全員に描かれており、余計に区別しにくくなってしまったように思います。厳しいようですがそもそも何のパーツなのかよく分からず、混乱することもありました。
身体についても異常に手足が細い場面などがありましたし、正直そこで話に集中出来なくなってしまったんですよね。個人的には画力よりも話のほうが重要だと考えていますが、物語の邪魔になる絵なのは問題だと思います。
作画と原作も分かれていましたし、絵で魅せるコマがもう少し欲しかったと感じます。画力はそこまで高くなくともバトルシーンは見やすかったですし、お菓子が散らばっている大ゴマなどには惹き込まれたのでこちらも惜しい点ですね。
振り返ってみると、難しい題材を選んだ上、他の部分で読者を獲得することも出来ていなかったように思います。「魔法少女アニメのような設定、バトルにそこまでの個性はない」ということで、スタートダッシュにも正直失敗していたんですよね。ただ致命的な問題点はなく、絵もストーリーもあと一歩及ばなかったという印象です。
敵組織含むキャラとの会話はボケとツッコミのテンポが面白く、読んでいて楽しい気分になれました。メインキャラもインパクトは強くないものの応援出来たんですよね。原作のたけぐし先生も作画のみたらし先生も初連載ですし、単純に経験不足で未熟な部分が目立ってしまったのだろうなと考えています。
先述したようにトウカは今でもお気に入りのキャラですし、ラストにツムギが少女を助けるシーンもかっこ良く、短命ではあるものの好感度は高い漫画でした。未熟ということは成長の余地があるということだと思いますし、両先生の次回作に期待させていただきます。アメノフルのような捻った作品でも、王道の漫画でも良いですね。新作を読める日を楽しみにしております。
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