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それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。
1 基本設定が少年誌に合っていなかった
「お菓子の能力を使う人物が暗躍する世界で、密かにキャンディの力を手に入れた女子高生が主人公」という構成なのですが、正直少年誌ではかなり扱いにくかったと思います。女性向けのほうが向いている設定の気がしますし、ジャンプの読者を惹きつけるのは難しかったんでしょうね。主人公のツムギもどちらかと言えば冷静なタイプで、少年達が感情移入出来る熱いキャラではなかったと思います。
そもそも女性主人公という時点で、ジャンプの読者を惹きつけるのはかなり大変な気がします。もちろん成功例もあるのですが、たとえばアンデッドアンラックや約束のネバーランド、魔人探偵脳噛ネウロのように、本筋を動かす強烈な個性を持った男性キャラが相棒になることが多いんですよね。アメノフルの場合はツムギを監視、護衛することになるミサキがそのポジションなのですが、「真面目すぎる敬語キャラ」の一言で説明出来てしまい、厳しいようですが際立った個性は感じられませんでした。この点については次の項目で詳しく解説いたします。
主人公が女性のみでヒットしている作品は、正直かなり少ないんですよね。近年になり、あかね噺やルリドラゴンなどその兆候が見られる漫画は増えて来たと思うのですが、文化系の熱血漫画、ファンタジー要素を含むほのぼのコメディと、アメノフルとはジャンルが全く違います。やはり「バトル漫画で主人公が女子高生、視点を担当する男子に強烈な個性はない」というのははっきり言って難しかったのでしょうね。
そして、お菓子を武器にするという設定は画面も華やかになり良いと思うのですが、結局ほぼ殴るか投げつけるかの二択になってしまっており、途中から正直退屈だったんですよね。直接攻撃だけではなく、たとえばいわゆるデバフ系のお菓子などがあればもっと面白かったかもしれません。
また、バトル内容自体は熱くて好きでしたが、お菓子がメインという時点で入り込めない読者も多かったのではないかと思います。戦場にお菓子が散らばっているシーンなどは、魔法少女アニメで見られるような描写なんですよね。たとえば、主人公は女子高生だけれどあえて重火器を使ったバトルをメインにする、といった設定ならギャップが生まれたかもしれません。
正直、基本設定の時点でかなり損をしていたと感じます。お菓子をメインに戦う女子高生が主人公、という部分を崩したくないなら、相棒の男性キャラはむしろ熱くて男らしい性格にしたほうが良かったかもしれません。これなら若い読者が興味を持つきっかけにもなった気がします。
個人的には女性主人公の作品も好きですしどんどん増えて欲しいですが、少年が主人公の漫画を描くとき以上に気を遣わないといけないのだろうなとも思います。女性主人公だけれど男勝りな性格、あるいは同じくらい目立つ少年がいる、などの工夫が必要なのでしょうね。
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