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短期連載(打ち切り)となった作品を取り上げ、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2021年18号にて最終回を迎えた仄見える少年(全30話)について書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。
それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。
1 主要キャラの魅力が伝わりにくかった
霊媒師の伊織と霊によるトラブル(霊怪)を引き寄せる体質のヒロイン、りくがメインとなるキャラなのですが、物語に惹き込むようなインパクトを感じられなかったというのが正直なところです。
まず伊織については「基本的には無気力だけれど才能は素晴らしく、誰かを守るために熱くなることもある」といった設定なのですが、霊怪の相談を受けても大体面倒くさそうにしており、厳しいようですが少なくとも第一印象は良くないんですよね。
いわゆる「やれやれ系」に分類されるのだと思いますが、こういった主人公自体ジャンプでは正直難しい気がします。特に少年達は「ダルそうにしていて応援出来ない」と思ってしまうのではないでしょうか。実際、ヒット作にこういった主人公は少ないですよね。斉木楠雄のΨ難の斉木などは近いですが、ギャグ漫画なのでまた事情が違うでしょうし。
連載が進むにつれて、人との関わりを避けていた理由などが分かり内面の魅力も増したのですが、もっと早くにこういった設定が描かれていれば支持もされやすかったのではと感じます。たとえば暗殺教室の殺せんせーも、謎めいたキャラでしたが「大切な相手との約束を果たすため教師になった」ということはかなり早い段階で分かっていましたよね。主要キャラの内面に関わる重要な設定は、序盤で描写しておいたほうが良かったのかもしれません。姉に頭が上がらないなどの可愛げもあり個人的には魅力を感じましたが、少年誌には合わなかったのかもとも思います。
そしてりくについては、初めは守られる対象だったけれど徐々に成長して行く、というタイプでこちらも好きでしたが、正直地味だったとも感じます。伊織が王道から外れていてもヒロイン次第で漫画の人気に繋がったと思うのですが、そこまでの魅力はなかったんですよね。厳しいようですが、欠点はないけれど大きなインパクトもなかったというのが正直なところです。
また、2人とも外見的な特徴が薄かったのも惜しい点です。やはり容姿に魅力やインパクトがあると惹き込まれますからね。特にりくの髪がぺったりとした印象になてしまっているのは、せっかくの可愛さを邪魔しているようにも見えました。逆に伊織の姉の夜生は真っ黒な超ロングヘアに札での目隠しという特徴的な外見で、出番は多くなかったものの未だに印象に残っています。
主人公、ヒロイン共に不快なキャラではなかったのですが、魅力が伝わりにくかったのは問題点だったと考えております。伊織の設定もどちらかというとライバルやサブキャラにいそうな内容なんですよね。もちろん王道から外れた主人公でも構わないのですが、序盤で過去を少し見せておくなどの工夫が必要だったのだと思います。また、無気力さをなくし、クールな天才肌、といった描写にしても良かったかもしれません。りくはキャラ設定に大きな欠点はないので、もう少し容姿を華やかにすれば結果は違っていたのでは、と考えております。
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