2022年8月12日金曜日

短期連載(打ち切り)作品解説 クーロンズ・ボール・パレード 1/2



クーロンズ・ボール・パレード 1 (ジャンプコミックス)

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短期連載(打ち切り)となった作品について注目、分析する記事です。今回は週刊少年ジャンプ2021年31号にて最終回を迎えたクーロンズ・ボール・パレード(全20話)について書かせていただきます。あらすじや設定につきましてはこちらをご覧ください。

それでは短命に終わったことから、打ち切りの理由になったと思われる問題点について考えて行きます。



1 特に序盤の展開が遅すぎた


これで読者離れが進んでしまった部分は大きいと思います。当時様々な場で批判されていましたし、個人的にも読んでいて正直退屈でした。

そもそも「仲間集めから始める」ということ自体スポーツ漫画では良く言えば定番、悪く言えばありがちな展開なわけですが、これを令和にやるのは時代遅れでしょう。一話はともかくとして、練習試合で良いので二話か三話の時点で試合を描いたほうが良かったはずです。

また、ひとりのメンバーを勧誘するのに時間をかけすぎていたのも問題だったと思います。仲間集めをするのなら、せめてひとりにつき一話くらいのテンポで進めないと飽きてしまいます。ジャンプ本誌だけでも優れた漫画がたくさんあるのに、序盤でスカッとした展開も描かずダラダラ続けるのは悪手でしょう。

そして結局、主人公ふたりが高校に入学するまでメンバーも揃わず「チームでの勝利」がなかったのも問題でした。あくまでも個人的な考えですが、スポーツ漫画で一番盛り上がるのは主人公達が勝利する瞬間だと思うんです。それがないままのんびり仲間を集めるのは、正直つまらない展開をずっと見せられているのと同じことなんですよね。


時代やスポーツ漫画の研究が出来ておらず、読者が飽きやすい展開を序盤で続けてしまったのかなというのが正直なところです。

仲間集めをすぐに済ませる、またはいっそ省くなどして野球の熱さをしっかり描いていればもっと読者を惹き付けられたと思います。



2 主人公(小豆田)が地味すぎた


「相手の分析や配球センスセンスは優秀だけれど、選手としての総合的な能力は中の上レベル」という設定ですが、はっきり言って扱いが難しいレベルで地味だと感じました。もちろん上手く描けていれば良いのですが、もうひとりの主人公である龍堂の影に隠れて地味なまま終わってしまったというのが正直な感想です。

もちろん、目立たない凡才も主人公としてはアリだったと思います。ただ、魅力的に描くためには何か別の設定も必要だったのではないでしょうか。たとえば黒子のバスケの黒子のようにサポートに特化している、など「総合的な能力は平凡だけれどある技術が突出している」といった主人公は割と王道ですよね。小豆田の場合なら、分析力は白鳳学院にデータ班としてスカウトされるレベルで優秀、といった描写でも良かったかもしれません。しかし選手を強く希望していたため入学を断ったところ、その能力を活かして一緒にプレーしないかと龍堂に誘われる、などの展開も作れそうですよね。

個人的には「能力の特化もなく練習量がとりえ」のような平凡なキャラも好きなのですが、特に若い読者に受け入れられるのは難しかったと正直感じます。練習が独創的、などの描写などがあれば少し違ったかもしれません。


厳しいようですが、平凡な主人公があまり成長を見せることもない内に連載終了してしまった作品でした。何か突出した技術や練習方法をプラス出来れば結果は大きく変わっていたはずです。



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