2022年8月16日火曜日

短期連載(打ち切り)作品解説 無刀ブラック 2/2



3 予想を超える展開が少なかった


物語に大きな問題点は感じなかったのですが、良い意味で予想を裏切られることがあまりなく、簡単に先を読めてしまう展開が多かったというのが正直なところです。

この項目を語る上で外せないのは、やはり「槍としてのあなたは死にました」ですね。槍術使いの青年、砕蔵と対戦することになった雪路は彼の兄弟である徹から「兄が負けた場合は殺してください」と依頼され、その後砕蔵に勝利します。対戦終了時に言ったのが「槍としてのあなたは死にました」です。

厳しいようですが、徹が殺してくださいと頼んだ時点で素人でも予想出来てしまう展開だったと言わざるを得ません。当時ネット上でも「あまりにも安直すぎる」と話題になっていましたし、個人的にも読んでいて本当にこの台詞を使うの?と正直少し呆れてしまいました。

もちろん雪路が砕蔵を生かすこと自体に文句はないのですが、たとえば秘術で一時的に仮死状態にしてある意味で徹との約束を守るなど、もう少し捻った展開にも出来たはずです。王道やベタは大好きですが、読者の予想を超えることがほぼないというのはやはり問題だったと思います。また、それ以外にも意外性や驚きがなく、見ていて退屈な展開が続いたと言わざるを得ません。厳しいようですが、読者が離れやすい構造になってしまっていた気がします。


ベタや王道は上手く使えば盛り上がりますが、やはり連発されるとつまらなくなってしまいます。ベタな流れと先が読めない展開、当然ですが両方をバランス良く配置することが大切なのだと思います。無刀ブラックはありがちな展開に偏ってしまっていたというのが正直なところです。



まとめると、キャラクターや展開の魅力が薄く、既視感も強いまま終了してしまったといったところでしょうか。るろ剣に似ているということを除いても退屈な内容だった、というのが正直なところです。

ちなみに個別項目にはしませんでしたが、雪路が試合終了後などに説教じみた発言ばかりを繰り返す点も偉そうに感じてしまい、個人的には苦手でした。また、特に終盤の構成のバランスが悪く、作中の大きな問題がほとんど解決しないまま雪路が道場に帰って来て終了、というあまりにも消化不良な展開になっていたことも気になりました。打ち切りとはいえ、もう少し上手く物語を締めくくって欲しかったです。

画力は当時から非常に高かったと思いますし、掘り下げれば面白くなりそうな設定もあったので残念でした。やはり作品にはオリジナリティが不可欠ですね。野々上先生は「最後の西遊記」も短期終了となっていますが、こちらは既視感についての問題は解消されていたと思います。絵やキャラクターデザインなどは好きなので、次回作があればまた読ませていただきたいです。




りは「問題点以外は全体的に小さくまとまっている印象も受けてしまう作品でした。
今後新作を描くのなら、爽快感やオリジナリティを取り入れて欲しいですねー」



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