カグラバチ
大ケガは負っているものの、ひとまずチヒロが無事で安心しました。ヒナオが順調に回復しているというのも嬉しい情報ですね。
雫天石や双城の狙いが明かされるシーンの見せ方も上手いですね。シャルが既に五日間も過酷な環境にいる、という描写にもハラハラしました。
新たに登場した神奈備の面々も個性的ですね。特に眼鏡が印象的なリーダーらしき男性が気になります。
彼らや柴と話し合い、新たな作戦を立てる終盤の展開も良かったです。「君ほっといたら~」というリーダーらしき男性の台詞も印象的でした。
ただ、やはりシャルの扱いの悪さが気になってしまいました。今現在洒落にならないほどの虐待を受けている、というのは個人的にも読んでいて苦しいですし、評価されにくい設定だと思います。
また、事件が起こった後ようやく神奈備がやって来る、という流れにも引っかかってしまいました。優秀な集団のはずなのに正直そう見えないんですよね。
ストーリーも進みましたし重要な設定の描き方も上手かったのですが、気になる部分が多かったのは事実です。興味深い設定がいくつも出て来たので、神奈備との協力や今後のチヒロの動きに、期待させていただきます。
電車田中(読み切り)
傷心中の主人公が一人乗りの不思議な電車、田中と出会い自分の心の痛みを受け入れられるようになる、というストーリーがとても印象的でした。画力も高く、特に主人公の泣き顔にグッと来ました。田中の顔が最後まで分からない構成なのも良かったです。
主人公を背中に乗せた田中が線路を進んで行くシーン、主人公と別れた彼氏の電車内での会話など、印象的な絵が多いのも魅力的でした。「現在進行形~」という田中の台詞も良かったです。
どこに進んだら良いか分からない主人公に田中が笑顔で答える終盤の展開にも惹き込まれました。ラストの主人公のモノローグにもグッと来ました。
ただ、ページ数が短いので仕方ないのかもしれませんが、主人公と別れた彼氏とのエピソードが少ないためイマイチ感情移入出来なかったんですよね。主人公の名前も明かされないので余計愛着が湧きにくかった気がします。
そして細かいことかもしれませんが、主人公が別れた彼氏と新しい彼女のやりとりを見てしまうシーンにも引っかかりました。すれ違う電車の中にいる相手のことがどうして分かったの?と思ってしまったんですよね。
発想は面白かったのですが、細部が気になってしまったというのが正直なところです。絵やキャラクターは好きなので、EITI先生の成長に期待させていただきます。
魔々勇々
ミネルヴァの過去がとても印象的でした。話をグイグイ引っ張ってくれる明るい彼女ですが、なかなか辛い思いをしていたんですね。魔王という存在を憎むラルフレッドがミネルヴァの姿を見て迷うシーンも印象的でした。
追い詰められたミネルヴァが恨んでいたはずの母の言葉を思い出してしまう、という描写もリアルで惹き込まれました。アイドルとして夢や愛を与えていた彼女が一番愛を必要としていたんですね。
終盤にコルレオがきっちり駆け付けるシーンも印象的でした。彼を見た際のミネルヴァの表情にもグッと来ました。コルレオの「ラルフ!」という台詞も良いですね。
ただ、ミネルヴァの世界に既に魔王が複数いた、というような描写は正直気になりました。魔々勇々となる前は一対の法則があったはずですし、これが崩れているのはおかしいですよね。
施設を作る必要があるほど魔王がいる、という設定が気になってしまいました。そもそも勇者と魔王の定義もはっきり言って分かりにくいんですよね。
印象的な過去は良かったのですが、やはり細かい矛盾に引っかかってしまいました。掲載順も回復していませんし、コルレオの活躍での巻き返しに期待させていただきます。
ツーオンアイス
シングルでの結果を受けた後の隼馬の反応に惹き込まれました。夏日の言葉通り、フィギュア歴が浅いとは思えないほどの素晴らしい点数でしたね。「多分あれは~」という冒頭のモノローグも良かったです。
演技が印象的だったロランとの会話にもグッと来ました。彼の人柄の良さはもちろん「タカ」という言葉も興味深いですね。やはりたっくんのことなのかなと考えております。
スコアの発表や実力者とのやりとりを経て、隼馬が出した結論もとても良かったです。「でもそれ~」という台詞にも説得力がありました。「いつか俺が~」という言葉にもグッと来ました。
少し気になったのは、作品自体の展開は早いのに隼馬がどちらの道に進むかという葛藤はわりとのんびり描かれていたことです。今回の隼馬と綺更との会話が良い見せ場になっていたので、もっと序盤にこのシーンがあったほうが人気に繋がったのではと思うんですよね。
全体的には、必要な情報がしっかりと描かれており、隼馬の台詞も印象的で、面白かったです。掲載順は不安ですが今後が気になる展開だったので、隼馬と綺更の新たな歩みに期待させていただきます。
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